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カリキュラム/第8章: MCP 連携/8-1 Claude Code MCP とは|設定と仕組みを徹底解説

8-1 Claude Code MCP とは|設定と仕組みを徹底解説

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Model Context Protocol(MCP)とは何か、Claude Code でどう設定するかを基礎から解説。JSON-RPC・トランスポート(stdio / SSE)・スコープ(user / project / local)まで体系的に身につけます。

8章: MCP 連携60分
酒井歩乃加
監修: 酒井歩乃加

フリーランス編集者・ライター / 元マイベスト編集ディレクター

平原尚樹
監修: 平原尚樹

株式会社BlueAI 代表取締役CEO / ソフトウェアエンジニア

このレッスンで身につくこと

このレッスンは第 8 章「MCP 連携」の 入口 です。MCP を実際に使い倒すのは 8-2 / 8-3 で扱うので、ここではまず MCP が何者で、なぜ「Claude Code 時代の標準プロトコル」と呼ばれるのか を腹落ちさせます。

ポイント

このレッスンのゴール

  • MCP(Model Context Protocol)が なぜ生まれたか(M×N 問題)を自分の言葉で説明できる
  • MCP の 3 役(クライアント / サーバー / トランスポート)を図で描ける
  • MCP が OpenAPI / Function Calling と何が違うのかを言える
  • Claude Code の 3 つの設定スコープ(User / Project / Local)を使い分けられる
  • 公式 MCP サーバー 8 種 を用途別に把握し、何を入れるべきか判断できる
  • ==mcp__* permissions== でセキュリティを保ったまま MCP を運用できる

所要時間 — 約 60 分(読むだけなら 30 分) / 難易度 — ★★★☆☆


MCP が誕生した背景 — M × N 問題

MCP は 2024 年 11 月に Anthropic が発表 し、その後オープンソース化されたプロトコルです。一言で言うと AI エージェント × 外部ツールの「組み合わせ爆発」を共通プロトコルで終わらせるため に作られました。

MCP 登場前 — 毎回ゼロから書いていた

MCP 以前、AI エージェントに外部ツールを使わせるには ツールごと・LLM ごとに作り直し が必要でした。Slack なら Slack API、GitHub なら GitHub API を読み、それを Claude / GPT / Gemini それぞれ別フォーマット で関数定義し直す。

これが M(ホスト数)× N(ツール数) の組み合わせ爆発、いわゆる M × N 問題。M ホスト × N ツールを別実装すると、開発者全員が同じ車輪を再発明する地獄になります。

MCP 登場後 — M + N に圧縮された世界

MCP はこれを USB-C 方式 で解決します。コネクタ規格を 1 つに統一して、ノート PC・スマホ・モニターを全部繋げられるようにしたのと同じ発想です。

ツール提供者 → MCP サーバーを 1 つ実装
ホスト       → MCP クライアントを 1 つ実装

→ M + N の実装で済む
→ 新ホストが出ても既存サーバー全部使える
→ 新ツールが MCP 公開すれば全 AI から即使える

2026 年現在、Anthropic だけでなく OpenAI、Google、Microsoft、IDE 各社(Cursor、Zed、Continue など) が MCP をサポートしており、AI エージェント時代の 事実上の標準 となりました。

気づき

MCP は 「AI 時代の HTTP」 のような立ち位置を狙っています。HTTP がブラウザ × Web サーバーの組み合わせを統一して Web を爆発的に普及させたように、MCP は AI エージェント × 外部ツールを統一してエコシステムの爆発的成長を促す土台になります。

「OpenAPI で良くない?」への答え

「Web API には既に OpenAPI があるじゃないか」とよく聞かれますが、答えは OpenAPI は AI 用に設計されていない です。

  • OpenAPI は「人間が REST API を読む / クライアントを生成する」前提のスキーマ
  • AI に渡すには、ツール説明・認証フロー・ストリーミング応答などの抽象が足りない
  • AI ホスト側の「呼び方の標準」が定義されていない

MCP は最初から AI エージェントが扱いやすい単位 で、Tools / Resources / Prompts という 3 つの抽象を備えています。


MCP の正体 — クライアント / サーバー / トランスポート

MCP の中身は 3 つの登場人物 で構成されます。

loading diagram…
  • ホスト(Host) — ユーザーが直接触るアプリ。Claude Code、Claude Desktop、Cursor / Zed / Continue などが該当。「ユーザーの指示を LLM に渡し、必要なら MCP 経由でツールを呼ぶ」司令塔
  • クライアント(Client) — ホスト内部の接続管理オブジェクト。「MCP サーバー 1 つにつきクライアント 1 つ」が並行起動。/mcp で見えるサーバー状態はクライアント越しの観測値
  • サーバー(Server) — 外部ツールを Tools / Resources / Prompts として公開 する独立プログラム。Claude Code はサーバーの中身を一切知らず、自己申告された Tools 定義 を LLM に渡すだけ
MCP Server の 3 プリミティブ

Tools     副作用ありの関数(create_issue, send_message, ...)
Resources 副作用なしの読み取り(DB スキーマ, ドキュメント, ファイル)
Prompts   事前定義されたプロンプトテンプレート(レビュー手順, etc.)

Claude Code が最もよく使うのは Tools。Resources / Prompts はまだ対応サーバーが少なく、Tools のみのサーバーが大半です。

ポイント

MCP サーバーは 1 つにつき 1 プロセス として起動します。Claude Code を起動すると、設定された MCP サーバーが全部 子プロセスとしてバックグラウンドで立ち上がり、Claude Code が終了すると一緒に止まります。ps aux | grep mcp で確認できます。

トランスポート(通信路)の 3 種類

クライアントとサーバーは JSON-RPC 2.0 でやりとりしますが、それを運ぶ「通信路」には次の 3 種類があります。

トランスポート起動方法用途
stdioコマンドを子プロセスで起動、標準入出力で通信ローカル MCP(最も一般的)
HTTP + SSEHTTP に接続、Server-Sent Events で受信リモート MCP(クラウド提供)
Streamable HTTP単一エンドポイントで双方向通信2026 年標準の次世代方式

「ローカル MCP は stdio、クラウド提供は HTTP 系」と覚えれば、まずは十分です。


JSON-RPC 2.0 ベースの通信 — リクエスト / レスポンスの実例

MCP の通信は JSON-RPC 2.0 です。JSON-RPC は「JSON で関数呼び出しを表現する」シンプルな規格で、Web 開発者にもなじみやすい形をしています。

通信は次の 3 段階で進みます。

1. initialize で握手

接続開始時、クライアントが ==initialize を投げ、サーバーが自分のプロトコルバージョンと capabilities を返します。バージョン不一致なら /mcp がエラー== になります。

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 1,
  "method": "initialize",
  "params": {
    "protocolVersion": "2026-02-01",
    "capabilities": { "tools": {} },
    "clientInfo": { "name": "claude-code", "version": "1.5.0" }
  }
}

2. tools/list でツール一覧取得

Claude Code は ==tools/list で使えるツール一覧を取得。サーバーは JSON Schema 付きの定義== を返し、Claude Code はこれを LLM のプロンプトに含めて「使えるツール」を知らせます。

{
  "tools": [
    {
      "name": "list_issues",
      "description": "Get a list of issues from a GitHub repository",
      "inputSchema": {
        "type": "object",
        "properties": {
          "owner": { "type": "string" },
          "repo": { "type": "string" },
          "state": { "enum": ["open", "closed", "all"] }
        },
        "required": ["owner", "repo"]
      }
    }
  ]
}

3. tools/call で実行

ユーザーが「Issue 一覧を見せて」と指示すると、Claude モデルが ツールと引数を組み立て、クライアントが ==tools/call を発行。サーバーは外部 API を叩き、結果を content 配列== で返します。

ポイント

Claude Code 利用者がこの低レベルなやりとりを意識することはありません。ただし、/mcp でエラーが出たときに「initialize が失敗 → バージョン不一致」「tools/list が空 → サーバーのツール定義漏れ」「tools/call で isError: true → 認証 or 入力エラー」と切り分けられると、トラブル解決が圧倒的に早くなります。


MCP と OpenAPI / Function Calling の違い

よく混同される 3 概念を整理します。

観点OpenAPIFunction CallingMCP
目的REST API のスキーマ記述LLM のツール呼び出しAI ホスト × ツールの接続標準
中立性プロバイダ中立LLM プロバイダ依存モデル / ホスト / ツール中立
プロトコルHTTP + JSONLLM プロバイダ独自JSON-RPC 2.0
認証規定なし(OAuth は別仕様)プロバイダ任せOAuth 2.1 組み込み

一言ずつでまとめると、OpenAPI は「REST API の説明書」、Function Calling は「LLM プロバイダが提供するツール呼び出し API」、MCP は「AI ホスト × ツール提供者の間に立つ独立した接続プロトコル」です。

Function Calling は 同じ LLM プロバイダの中だけで完結 する一方、MCP は プロバイダの外 に立つので Claude / GPT / Gemini どれからでも同じサーバーを呼べます。Function Calling だけの世界では ChatGPT / Claude / Gemini 用に書き直しが必要ですが、MCP では サーバーを 1 個書くだけで全 AI から呼べます

MCP サーバー内部では最終的に REST API(OpenAPI で記述された外部 API) を叩くことも多く、MCP は OpenAPI の上に乗る "AI 用のフロントエンド"。両者は競合ではなく補完関係です。


Claude Code との関係 — .mcp.jsonclaude mcp add

Claude Code は MCP に ホスト側 として参加します。設定の入り口は User / Project / Local の 3 ファイル(詳細は次章)。基本フォーマットは次の通りです。

{
  "mcpServers": {
    "<server-key>": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "<package-name>", "<arg1>", "..."],
      "env": { "<ENV_VAR>": "<value>" }
    }
  }
}
  • ==<server-key>== — Claude Code 内部で識別する任意の名前
  • ==command / args== — 起動コマンドと引数(パッケージ名・許可ディレクトリ・接続文字列)
  • ==env== — サーバープロセスに渡す環境変数(API キー等)

リモート MCP は "transport": "http""url" の形。CLI からの追加もできます。

# stdio
claude mcp add filesystem -- npx -y @modelcontextprotocol/server-filesystem /Users/me/docs

# HTTP(リモート MCP)
claude mcp add --transport http context7 https://mcp.context7.com/mcp

# スコープ指定
claude mcp add --scope project linear -- npx -y linear-mcp

設定後、Claude Code を再起動して /mcp を実行すると、接続中のサーバーが一覧表示されます。 が成功、 がエラーです。

> /mcp

✓ filesystem  (3 tools)
✓ github      (12 tools)
✗ postgres    (connection failed)

公式 MCP サーバー 8 種類 — 用途別マップ

MCP サーバーは 2026 年時点で公式・コミュニティ合わせて 1000 種類以上 あります。ここでは初学者がまず把握しておくべき 公式 8 種 を用途別に紹介します。

サーバー用途ポイント
filesystemプロジェクト外フォルダへのアクセス引数で渡したディレクトリ 以外はサンドボックスでブロック
postgres読み取り専用 SQL==SELECT のみ==。本番でも安全に DB スキーマを参照させられる
google-driveDrive 横断検索Cloud Console で credentials.json を発行
githubIssue / PR / Actions 操作PAT スコープは ==repo / read:org のみ==
slackメッセージ送受信Bot Token は 送信先チャンネル限定
brave-searchWeb 検索の組み込みプライバシー重視、日本語結果に強い
cloudflareWorkers / KV / R2 / D1 操作API Token は 操作対象リソースのみ
stripe顧客・サブスク・決済情報Restricted Key で 本番は読み取りのみ

選び方のコツ は、自分の業務で「今いちばん手作業で面倒だ」と感じているツールに対応するサーバーを 1 つだけ試すこと。たくさん入れて満足するのではなく、1 つ深く使い込む ところから入りましょう。

その他の人気サーバー(参考)

公式以外でも、次のような MCP サーバーが急速に普及しています。

サーバー提供元用途
@notionhq/notion-mcp-serverNotion 公式ページ・DB 操作
linear-mcpLinear 公式Issue・Project 管理
figma-developer-mcpコミュニティデザインファイルのノード読み取り
firecrawl-mcpFirecrawl 公式Web スクレイピング、サイトクロール
posthog-mcpPostHog 公式プロダクト分析の SQL クエリ
playwright-mcpMicrosoftブラウザ自動化、E2E テスト
context7-mcpUpstash最新ライブラリドキュメント

サーバーの最新一覧は公式 MCP Servers Registrygithub.com/modelcontextprotocol/servers)と、コミュニティ運営の Smitherysmithery.ai)でカテゴリ別に検索できます。

気づき

選び方のコツ — 「今いちばん手作業で面倒だ」と感じているツールに対応する MCP サーバーを 1 つだけ試すと、効果が一番実感できます。たくさん入れて満足するのではなく、1 つ深く使い込む ところから入りましょう。


設定の 3 スコープ — User / Project / Local の使い分け

Claude Code では MCP サーバーを 3 つのスコープ で管理できます。スコープによって 設定の場所・共有範囲・優先順位 が変わります。

スコープ設定場所共有範囲Git にコミット
User~/.claude/settings.jsonmcpServers自分の全プロジェクトで有効しない(個人設定)
Projectプロジェクトルートの .mcp.jsonチーム全体で共有する(チーム共有)
Local.claude/settings.local.jsonmcpServersそのプロジェクト × 自分の環境のみしない(gitignore)

使い分けの指針

  • User — どのプロジェクトでも使う共通サーバー(github, brave-search, context7)。自分の PAT・API キーが入っても他人に見られない
  • Project — プロジェクト固有でチーム全員が同じ設定を使うべきもの(DB、デザインファイル、Sentry プロジェクト ID)。API キーは 環境変数経由 にしてファイルは Git コミット可能に
  • Local — プロジェクト固有だが個人の上書き(個別 PAT、自分の検証環境)。==.gitignore に追加== して絶対にコミットしない

優先順位

複数スコープに 同じキー のサーバーが定義されている場合、Local > Project > User の順で優先されます。たとえば .mcp.jsondb キーで本番 DB を定義し、自分だけ .claude/settings.local.json で同じ db キーを検証 DB に上書き、という使い方ができます。

この階層モデルは ==Git の .gitconfigESLint の .eslintrc== と同じ発想で、「グローバル → プロジェクト → ローカル」の順に上書きしていく感覚で馴染みやすいでしょう。

ポイント

==.mcp.json を Git にコミットしてチーム共有、シークレットだけ 環境変数 or Local スコープ== に退避する。これが最も標準的な運用です。.mcp.jsonenv${VAR_NAME} で外部参照できるので、API キーをファイルに直書きしない癖をつけましょう。


インストール実例 1 — filesystem MCP

最初は最も導入しやすい filesystem MCP。User スコープ(~/.claude/settings.json)に次を追記し、Claude Code を /quit で再起動します。

{
  "mcpServers": {
    "design-docs": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-filesystem",
        "/Users/me/Documents/design-docs"
      ]
    }
  }
}

==args の 3 つ目以降に「許可するディレクトリ」== を列挙。それ以外のパスは MCP サーバー側でブロックされ、Claude Code から見えません。再起動後、/mcp✓ design-docs (5 tools) と表示されれば成功です。

ポイント

filesystem MCP は書き込みもできます。意図しないフォルダで書き込みが起きると怖いので、READ_ONLY=1 環境変数を渡すなど、サーバーの README を確認してください。


インストール実例 2 — github MCP

次は GitHub MCP。Issue / PR / コミットを自然言語で操作できます。

まず GitHub の Settings → Developer settings → Personal access tokens で PAT を発行。スコープは ==repo / read:org の最小限 に絞り、delete_repo などの破壊的スコープは付けない== こと。

{
  "mcpServers": {
    "github": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
      "env": { "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "ghp_xxxx" }
    }
  },
  "permissions": {
    "allow": ["mcp__github__list_issues", "mcp__github__get_issue"],
    "ask":   ["mcp__github__create_pull_request", "mcp__github__create_issue"],
    "deny":  ["mcp__github__delete_repository"]
  }
}

allow は確認なし(読み取り系)、ask は毎回確認(書き込み系)、deny は絶対に実行しない(破壊系)。「読み取りは自由、書き込みは確認、削除は禁止」の運用になります。


インストール実例 3 — postgres MCP

3 つ目は PostgreSQL MCP。DB スキーマを意識したコード生成が可能になります。

本番 DB を触らせるなら、まず 読み取り専用ユーザー を用意します。

CREATE USER claude_readonly WITH PASSWORD 'changeme';
GRANT CONNECT ON DATABASE app TO claude_readonly;
GRANT USAGE ON SCHEMA public TO claude_readonly;
GRANT SELECT ON ALL TABLES IN SCHEMA public TO claude_readonly;

次に .mcp.jsonProject スコープ、チーム共有)に追記します。

{
  "mcpServers": {
    "db": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-postgres",
        "postgresql://claude_readonly:${DB_PASSWORD}@localhost:5432/app"
      ]
    }
  }
}

${DB_PASSWORD}環境変数から差し込み ます。各メンバーが自分の .envrc などで設定する運用が安全です。

> users テーブルのスキーマを教えて
> 過去 7 日の新規登録数を日別で集計して
気づき

DB スキーマを Claude に渡すと、コード生成の精度が劇的に上がります。「users テーブルに last_login_at カラムがある」のような細部まで把握した上で、ORM クエリやマイグレーション SQL を提案してくれます。カラム名を取り違える事故が、体感で 1/10 以下に減ります。


セキュリティと権限管理

MCP サーバーは Claude Code と同じ権限 でローカルプロセスとして起動します。便利な分、設定を誤ると本番 DB を破壊したり、機密情報を漏らしたりするリスクもあります。

MCP 導入時のチェックリスト

<Checklist id="lesson-8-1-security" items={["配布元の信頼性を確認した(公式・大手ベンダー製・Star 数の多い OSS を優先)","npm パッケージの package.json と main エントリを目視確認した","API キー・PAT は最小権限スコープに絞った(書き込み不要なら read-only のみ)","本番 DB に繋ぐ場合は読み取り専用ユーザーで接続している",".mcp.json をコミットする場合、シークレットは環境変数経由で渡している"]} />

mcp__* permissions で細かく制御

Claude Code は、各 MCP ツールを ==mcp__<server>__<tool> というキーで権限制御できます。危険な操作は askdeny== にしておき、一括承認モード(--dangerously-skip-permissions)では絶対に使わない運用が安全です。

{
  "permissions": {
    "allow": ["mcp__github__list_issues", "mcp__postgres__query"],
    "ask":   ["mcp__github__create_pull_request", "mcp__slack__send_message"],
    "deny":  ["mcp__github__delete_repository", "mcp__filesystem__write_file"]
  }
}
Bad

避けたい振る舞い

  • README が薄い野良 MCP を「とりあえず動きそうだから」入れる
  • ソースコードを 1 行も見ずに npx で実行する
  • 本番 DB の管理者ユーザーで postgres MCP に接続する
  • API キーを .mcp.json に直書きして Git にコミットする
Good

推奨される振る舞い

  • 公式リポジトリか、Notion / Stripe / Cloudflare などのベンダー公式を優先
  • API キー・PAT は 最小権限スコープ で発行、定期ローテーション
  • .mcp.jsonenv は ==${VAR_NAME} で外部参照==、シークレットはファイルに残さない
  • permissions で危険操作は ==ask or deny==

リモート MCP の OAuth 2.1

リモート MCP(HTTP 系)はネットワーク越しなので「誰として接続するか」を証明する必要があり、MCP 仕様では OAuth 2.1 が標準採用されています。

認可フローを簡略化すると次のステップです。

  1. Claude Code が初回接続 → サーバーが 401 を返す
  2. Claude Code が ブラウザを自動で開いて 認可画面に誘導
  3. ユーザーがログイン・同意 → authorization_code 発行
  4. Claude Code が PKCE 付きで access_token に交換
  5. 以降は Bearer token を付けて MCP サーバーに再接続

取得したトークンは macOS Keychain / Windows Credential Manager に保存され、refresh_token で自動更新されます。

# 認可が必要なリモート MCP の追加
claude mcp add --transport http --oauth notion https://mcp.notion.com
ポイント

リモート MCP の最大の利点は「インストール不要」。URL を登録するだけで使えます。Cloudflare、Notion、Stripe など主要ベンダーは順次リモート MCP に移行中で、今後はリモート版が主流になる見込みです。


よくあるトラブル

MCP の運用で頻発するトラブルを、原因と対処をセットで並べます。

/mcp で「error」と表示される

MCP サーバーの起動時にクラッシュしている 可能性が高いです。ターミナルでサーバーを直接実行してエラーを確認するのが最短ルートです。

GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN=ghp_xxx \
  npx -y @modelcontextprotocol/server-github 2>&1 | head -30

典型的な原因は 認証失敗(PAT スコープ不足) / Node.js のバージョン不一致(v18 未満) / 接続文字列のミス の 3 つです。

ツールが 0 個と表示される

サーバーは起動しているのに /mcp(0 tools) の場合、原因は ==tools/list が空プロトコルバージョン不一致== です。古い MCP SDK だと 2024 年初期の仕様で止まっていることがあります。

npm install -g @modelcontextprotocol/server-github@latest

依存パッケージを 最新版にアップデート すると解決することが多いです。

設定が反映されない

MCP サーバーの設定は Claude Code の起動時に読み込まれます。ファイルを編集しただけでは反映されません。/quit で抜けてから再起動してください。

また、複数スコープの優先順位は Local > Project > User。「User で書いたのに Project の設定で上書きされている」ケースがよくあります。

JSON 構文エラー

.mcp.jsonsettings.json の編集ミスで多いのが 末尾カンマキーのクォート漏れpython3 -m json.tool < ~/.claude/settings.json で構文チェックできます。

コミット事故 — API キーを Git に push してしまった

即時 Revoke が最優先です。GitHub PAT なら GitHub 上で revoke、Stripe Key なら Stripe ダッシュボードで revoke。新しいキーを発行し、.gitignore に追加して git filter-repo で履歴からも削除します。

これを防ぐには、最初から ==.mcp.jsonenv${VAR_NAME} 記法 にして、シークレットを ファイルに書かない== 運用が安全です。


まとめ

このレッスンで押さえてほしいポイントは次の 8 つです。

  1. MCP は M × N 問題M + N に圧縮するオープンプロトコル。USB-C と同じ発想
  2. 構成は ホスト / クライアント / サーバー の 3 役。通信は JSON-RPC 2.0
  3. トランスポートは stdio(ローカル)と HTTP 系(リモート)の 2 系統
  4. プリミティブは Tools / Resources / Prompts。主に使うのは Tools
  5. OpenAPI / Function Calling とは目的が違う 補完関係
  6. 設定スコープは User / Project / Local。優先順位は Local > Project > User
  7. 公式 MCP 8 種(filesystem / postgres / github / google-drive / slack / brave-search / cloudflare / stripe)で大半をカバー
  8. ==mcp__* permissions== で危険操作を ask or deny、シークレットは 環境変数経由
気づき

MCP は「設定するだけ」ではなく「設計するもの」。どのサーバーをどのスコープに置き、どの権限を与えるか。「最小権限、信頼できる配布元、シークレット分離」の 3 原則を最初から守る癖をつけましょう。

章末演習

章末演習 — 手を動かして「自分ごと」に落とし込みましょう。所要時間 20〜30 分。

  1. ==/mcp を実行== — 今いくつ MCP サーバーが設定されているか確認。(0 tools) のサーバーがあれば原因を特定
  2. filesystem MCP を 1 つ追加 — Documents / Downloads など「読ませたいけどプロジェクト外」のフォルダを許可ディレクトリに加える
  3. ==mcp__* permissions を書く== — 設定済みツールを allow / ask / deny に分類
  4. スコープを確認 — 今の設定が User / Project / Local のどれにあるか。共有すべきものが User なら .mcp.json に移動
  5. 公式 MCP リポジトリ(github.com/modelcontextprotocol/servers)で 気になる MCP を 1 つメモ

<Quiz question="MCP が解決する「M × N 問題」とは何ですか?" options={["M 個の AI ホストと N 個の外部ツールの組み合わせ爆発を、共通プロトコルで M + N に圧縮する問題","M 個のモデルが N 個のパラメータを最適化する計算量問題","M 個のメモリと N 個のネットワーク接続の同時利用問題"]} answer={0} />

<Quiz question="Claude Code の MCP 設定スコープの優先順位として正しいものは?" options={[ "Local > Project > User", "User > Project > Local", "Project > User > Local", ]} answer={0} />


次のレッスン 8-2: Notion・Google Drive 連携 では、Notion と Google Drive を Claude Code に接続する具体的なワークフロー を扱います。議事録の自動作成、DB 横断検索、スプレッドシート操作など業務直結の MCP 活用例を見ていきます。