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カリキュラム/第9章: コスト管理/9-2 Claude Code トークン節約術|コストを半額にする

9-2 Claude Code トークン節約術|コストを半額にする

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Claude Code のトークン消費を半分にする最適化テクニックを体系化。/compact の使い分け、不要ファイル除外、CLAUDE.md 圧縮、モデル選択など、同じ作業のコストを半額にする実践集。

9章: コスト管理60分
酒井歩乃加
監修: 酒井歩乃加

フリーランス編集者・ライター / 元マイベスト編集ディレクター

平原尚樹
監修: 平原尚樹

株式会社BlueAI 代表取締役CEO / ソフトウェアエンジニア

このレッスンで身につくこと

前のレッスン 9-1 で「トークンとは何か」「入力と出力の単価差」を押さえました。ここから先は、同じ成果物を半分のコストで仕上げる ための具体的な手筋を一気に増やします。

ポイント

このレッスンのゴール

  • ==/compact/clear== を、ためらいなく場面で使い分けられるようになる
  • プロンプトキャッシュが効く書き方と、効かなくなる書き方の違いを理解する
  • CLAUDE.md の肥大化を防ぎ、コンテキストを「太らせない設計」を意識できるようになる
  • Haiku / Sonnet / Opus の使い分けで、月額を 30〜50% 削るルートを描ける
  • 出力フォーマット指定・タスク分割・テンプレート化で、出力トークン を意図的に削る
  • ==/cost== ベースの可視化を習慣化し、コストを「気にする」から「測る」に変える
  • 失敗パターンを 5 つ覚え、自分のセッションを後から振り返って改善できる

所要時間 — 約 60 分(手元で /cost を叩きながら読むのを推奨) 難易度 — ★★☆☆☆(前のレッスン 9-1 の内容を前提にします)


最適化の効果は実例で見る — Before / After

抽象的な話を始める前に、最適化を入れる前と後でどれくらい違うかを見ておきます。同じユーザーが、同じ機能を実装する というシナリオです。

観点Before(最適化なし)After(最適化あり)
主な作業「いい感じの管理画面作って」を 8 回往復「以下仕様で 1 ファイル」を 1 回投入
平均入力トークン / セッション約 38,000約 12,000
平均出力トークン / セッション約 22,000約 7,000
モデル常時 OpusSonnet メイン、要所だけ Opus
/compact 使用0 回話題が変わるたび
1 セッションのコスト約 $2.20約 $0.18
月額(30 セッション)約 $66約 $5.4

「ちょっと工夫した」だけで、1 桁 コストが変わるのが Claude Code のコスト構造です。原因はシンプルで、トークンは指数的に積み上がる 性質があるからです。会話が長くなるほど、毎回の往復で過去全部が再送信されるため、同じことを繰り返すたびに料金が増えていきます

気づき

コストの差は「単価」ではなく「ループの回数」と「ループあたりの長さ」で決まる

Sonnet と Opus の単価差は 5 倍ですが、ループ数の差は 10〜20 倍になりえます。つまり 最大のレバー はモデル選択ではなく、同じ往復を 2 回以上やらせない 工夫の方です。


==/compact== コマンド — 会話履歴を要約してトークン削減

Claude Code は会話のたびに 今までの全文脈 をモデルに送り直します。これが コストが線形ではなく二次関数的に増える 主因です。

/compact コマンドは、会話履歴をその場で 要約圧縮 して、新しいスタート地点を作る機能です。

> /compact
# Context compressed: 62,400 → 8,200 tokens
# (要約は内部に保持、これまでの意思決定や暗黙ルールは引き継がれる)

いつ実行するか — 3 つのサイン

  1. 画面下のコンテキスト残量バー が 40% を切ったとき
  2. 話題が明確に切り替わった とき(例: バグ修正 → UI 改善に移行)
  3. 同じファイルを 3 回以上読み直してる ことに気づいたとき(過去の Read 結果がもう古い)
ポイント

「迷ったら /compact」と覚えておいて大丈夫です。失われるのは「冗長な往復ログ」だけで、Claude が学んだ意思決定や制約は要約に残ります。Cursor の "New Chat" のように丸ごと消えるわけではありません。

/compact の前後で起こること

/compact を実行すると、内部的にはこんな処理が走ります。

  1. 直近の会話履歴(数万トークン)を Claude 自身に渡す
  2. 「重要な決定・現在の状態・残タスク」を抽出した要約を生成
  3. 古い履歴を破棄し、要約 + 最新の数往復だけを新しい文脈にする
  4. 以降の指示は、この圧縮後の状態からスタート

要約自体に小さなコストはかかります(だいたい $0.01〜0.03)。ただし、その後の数往復で 30,000 トークン削減 × 5 ターン なら、回収どころか何倍にもなります。

Bad

==/compact のやりすぎ== にも罠があります。 要約の要約を繰り返すと、細かいニュアンスが摩耗します。「テーブル名は crm_dealsdeals ではない」みたいな 固有名詞のルール は、CLAUDE.md に書いておく方が安全です。


==/clear== の使い分け — 思い切ってリセット

/compact が「要約して引き継ぐ」のに対して、/clear全部リセットして真っさらにする コマンドです。

> /clear
# Conversation cleared. Starting fresh.

/clear を選ぶ場面

  • 別の機能の作業に切り替える とき(バグ修正 → 別アプリの開発)
  • 試行錯誤の山が積み重なって、もう経緯が邪魔 なとき
  • 前の話の影響で Claude が変な思い込みをしている とき
  • デモ・スクショ用に綺麗な状態を作りたい とき

==/compact は「過去を覚えていてほしいけど短くしたい」、/clear== は「過去はもう要らない、忘れて」というニュアンスの違いです。

/compact vs /clear 早見表

状況推奨理由
同じプロジェクトで作業継続==/compact==設計判断・命名規則を残したい
別プロジェクトに移る==/clear==文脈が混ざると有害
エラーで何度も失敗してる==/clear==失敗の連鎖から抜け出す
機能 A → 機能 B(同じアプリ)==/compact==CLAUDE.md と相性が良い
新人にデモを見せたい==/clear==過去ログがあると混乱する
気づき

==Claude Code 上達の半分は、/compact/clear のタイミング感です。これを習慣化するだけで、月額が 勝手に== 下がります。


プロンプトキャッシュを意図的に効かせる

Anthropic API には プロンプトキャッシュ という仕組みがあり、繰り返し送るプロンプトの先頭部分 は最大 90% 割引で再利用できます。Claude Code はこれを自動で使ってくれますが、書き方次第で効きが変わります

キャッシュが効く 3 つの条件

  1. プロンプトの先頭から、変わらない部分が連続している こと
  2. 同じ会話の中で短時間に 再送信されること(数分以内が目安)
  3. キャッシュ可能な最小長 を超えていること(モデルによるが数千トークン)

つまり CLAUDE.md と Read で読んだファイル は、放っておいてもキャッシュが効きやすい部分です。逆に プロンプトの真ん中で頻繁に内容が変わる と、それ以降のキャッシュが全部破棄されます。

キャッシュを壊しやすい NG パターン

Bad
  • 同じファイルを毎回違う順番で Read する
  • CLAUDE.md に ==# 最終更新: 2026-05-19 14:23:01== みたいなタイムスタンプを書いて、毎回更新する
  • セッション初期に「今日は何月何日?」と書いて、システム側で {今日} を毎回差し込む
  • 巨大ファイルを Read した直後に CLAUDE.md を編集する
Good
  • CLAUDE.md は変更が落ち着いたタイミングで保存して放置する
  • Read するファイル順を毎回そろえる(プロジェクトルートからの規定順)
  • 「変わる情報」(日付、タスク ID)は 末尾 のユーザー指示に置く
ポイント

キャッシュが効いた瞬間は /cost で確認できます。cache_read_input_tokens の値が大きいほど割引が効いています。慣れてくると、この値が 入力トークン総量の 70% 以上 になるように設計できるようになります。


大きすぎる文脈を避ける — CLAUDE.md の肥大化に注意

CLAUDE.md は便利だからといって、何でも書き足していくと コストの逆効果 になります。毎回の会話で全文が送信される ので、肥大化した CLAUDE.md は 永続的な税金 として効いてきます。

CLAUDE.md の理想サイズ

サイズ状態評価
〜100 行プロジェクト概要 + 基本ルール◎ 軽い
100〜300 行個別ルール・命名規則も含む○ 健全
300〜600 行ノウハウや過去判断も全部書いてある△ 注意
600 行〜何でも書いてある百科事典× 肥大

1 ファイル 600 行を超えたら、分割を検討 してください。具体的には、後の章で出てくる ==@importサブドキュメント参照== の仕組みを使って、必要なときだけ読み込ませる形にします。

肥大化を防ぐ 3 つのルール

  1. 「毎回必要な情報」だけ を CLAUDE.md に書く
  2. 「たまに必要な情報」 は別ファイルに分け、必要時に @docs/database-conventions.md のように参照
  3. 「もう古い情報」 は積極的に削る(過去の決定の残骸が一番危険)
気づき

CLAUDE.md は 「Claude が毎回読み返す常識」 です。常識が分厚すぎる人と仕事するのが疲れるのと同じで、肥大化した CLAUDE.md は Claude にとっても重荷で、結果としてあなたへの請求に跳ね返ります。


モデル選択の使い分け — Haiku で済むタスクには Haiku

Claude には大きく 3 つのモデル があります。料金差は 15 倍 あります。

モデル入力単価出力単価得意
Haiku 4.5$1 / 1M$5 / 1M単純な変換、フォーマット、要約
Sonnet 4.6$3 / 1M$15 / 1M日常コーディング、リファクタ
Opus 4.7$15 / 1M$75 / 1M設計判断、難しいデバッグ

デフォルトの Sonnet で 90% のタスクが片付きます。残り 10% を Opus、もしくは Haiku に振り分けることで、コストを大きく下げられます。

タスク別の推奨モデル

タスク推奨理由
typo 修正、文言だけ書き換えHaikuパターン認識で十分
ファイル名のリネームHaiku機械的処理
普通のコード追加・修正Sonnetバランスがベスト
既存コードの読解Sonnet文脈把握が必要
アーキテクチャ設計の議論Opus複数案の比較が必要
原因不明のバグの粘り調査Opus推論深度が効く
# モデル切り替え
> /model claude-haiku-4-5
# 軽いタスクを高速・低コストで

> /model claude-sonnet-4-6
# 通常モードに戻す

> /model claude-opus-4-7
# 難しい局面だけ
ポイント

「2 回失敗したら 1 段上げる」 ルールが実用的です。Sonnet で 2 回直らないバグは Opus に上げる、Haiku で違和感のある出力なら Sonnet に戻す、というルートを習慣化すると無駄が消えます。


出力フォーマット指定で無駄を削る

ここからは 出力トークン を削るテクニックです。前述したとおり、出力は入力の 5 倍の単価 なので、ここを削るのが最もリターンが大きいです。

「短く返して」を入れるだけで 50% 削減

> このコードの問題点を教えて。
→ 説明だけで 1,500 トークン

> このコードの問題点を 3 行以内で教えて。
→ 200 トークン以下

出力フォーマット指定の型

どれくらいの密度で どんな形で 返してほしいかを最初に伝えるだけで、出力が劇的に縮みます。

場面指定の例
概要だけ知りたい3 行で 要点を」
選択肢を比較したい表形式で 3 案だけ」
候補を並べたい箇条書きで 5 つ、説明なし」
コードだけ欲しいコードだけ 返して、説明不要」
ファイル名だけパス一覧だけ 返して」
ポイント

特に効くのは 「説明不要」 の一言です。Claude は親切なのでデフォルトで前後の説明をたくさん書きます。説明を抑制するだけで出力が半分以下になります。

コードだけ欲しいときの定型

> 以下を Python で書いて。説明は不要、コードブロックだけ返して。
> 仕様: ……

この 1 行が入っているだけで、平均 1,000 トークン以上の節約 になります。


一度に詰め込まない — タスク分割でリトライコスト削減

大きな依頼を一発で投げる と、Claude は途中で迷子になり、リトライが増えます。リトライこそが最大のコスト源です。

悪い投げ方の例

> 新規プロジェクト作って、認証つけて、DB繋いで、管理画面と
> ユーザーページとAPI と E2E テストとデプロイ設定までやって。

これを 1 発で頼むと、Claude は どこから手をつけるか の判断にトークンを使い、途中で前提が崩れて やり直し になります。1 セッションで $5 飛ぶこともあります。

良い投げ方の例

> まず認証だけ実装して。Better Auth で email/password、最小構成。
(ここまで OK ならコミット)

> 次に DB スキーマ。users / sessions テーブルを Drizzle で。

> その次に管理画面の雛形。/admin に / page と /users page だけ。

1 ステップずつコミットして進める と、失敗しても巻き戻しが 1 ステップ分 で済みます。==/compact== のタイミングも自然に取りやすくなります。

気づき

==コミット粒度 = 失敗のリトライ粒度==。

タスク分割は時短のためだけでなく、コスト保険 でもあります。1 ステップ失敗しても、その 1 ステップ分しか巻き戻らない設計にしておくのが基本です。


==/cost== ベースの可視化習慣

コスト最適化の本丸は、測ることを習慣にする ことです。測らない最適化は、ほぼ全部気のせいです。

/cost の読み方

> /cost

Session usage:
  Input tokens:           42,180 ($0.13)
  Cache read tokens:     128,400 ($0.04)
  Cache create tokens:    18,200 ($0.07)
  Output tokens:           7,940 ($0.12)
  Total: $0.36

注目すべきは ==Cache read tokensOutput tokens の比率== です。

状態兆候対処
Cache 比率が低いキャッシュが効いていないプロンプト先頭の安定性を確認
Output が異常に多いClaude が説明しすぎ「短く返して」を入れる
Input がじわじわ増える文脈が肥大/compact を実行
Cache create が毎回大きいキャッシュが破棄されてるCLAUDE.md の編集タイミング見直し

コストレビューを「日次」にする

==1 日の終わりに 1 分だけ /cost を見る== 習慣を作ってください。

# 1 日の最後にやる儀式
> /cost                    # 最終確認
> (メモアプリに金額をメモ)

これだけで、月末の請求書ショック が起こらなくなります。1 週間も続ければ、自分の作業 1 件あたりの平均コストが体感で分かるようになります。

ポイント

慣れてきたら、Anthropic Console の Usage ページ で日次グラフを眺めるのも有効です。「妙にこの日だけ高い」が分かれば、その日のセッションを振り返って原因を特定できます。


プロンプトテンプレート — 「短く返して」「箇条書きで」

毎回手で書くのは面倒なので、自分用の定型句 を持っておくと一気に楽になります。CLAUDE.md の一節に書いておけば、Claude が常に意識してくれます。

個人用 CLAUDE.md スニペット例

## 応答スタイル

- 説明は最小限。コードだけ欲しいときは「コードだけ」と指定する
- 質問は 3 案までに絞る。それ以上の選択肢は提示しない
- 修正前後の差分は、==変更箇所だけ== を提示する
- 失敗報告は 1 行で。原因 + 対処 + 影響範囲 のみ
- 提案前に動かしてしまって OK のものは、勝手に動かしてから報告する

この 5 行が CLAUDE.md にあるだけ で、Claude の応答密度が高くなり、出力トークンが目に見えて減ります。

場面別の定型プロンプト

# レビュー依頼
> 以下のコードを 5 行以内でレビュー。
> 重大度高い指摘だけ、それ以下は無視で。

# バグ報告から原因特定
> 以下のエラーの原因候補を 3 つだけ。
> 解決策はまだ提示しないで。

# リファクタ
> 以下のファイルを、ロジック変えずに読みやすく。
> 差分だけ返す。説明は 1 行で。
気づき

プロンプトの再利用率を上げると、コストは自動で下がる

自分の中の定番を 5〜10 個持っておくのが、長期的に最強のコスト最適化です。プロンプトを書く時間も減るので、時間 × コスト の二重節約になります。


失敗パターン

最後に、初心者〜中級者が陥りがちな失敗パターンを 5 つ並べておきます。自分のセッションを振り返って、このパターンに該当していないか をチェックしてみてください。

Pattern 1 — 冗長プロンプト

> あの、すいません、もしよかったらでいいんですけど、
> このコードがちょっと動かなくて、なんでかなあと思ってて、
> もし時間あったら見てもらえると嬉しいなと……

丁寧さは無料ではありません。入力トークンとして毎回送信されます。短くても失礼にはなりません(相手は AI です)。

Pattern 2 — 巨大ファイル全文を貼る

> 以下のコードを直して。
(5000 行のファイルを全文貼り付け)

Claude は ファイルパスを言うだけで Read してくれます。貼り付ける必要はありません。貼り付け キャッシュが効かない ので、毎回フルコストです。

Good
  • src/app.ts を見て、関数 X だけ直して」
  • src/app.ts の 120〜180 行目を確認して」

Pattern 3 — 試行錯誤の山積み

「あ、違う」「やっぱりこうして」「やっぱり戻して」を 10 回繰り返したセッションは、過去ログ全部が毎回送信 されます。==/compact または /clear== でリセットすべきタイミングです。

Pattern 4 — Opus 常用

「念のため Opus にしておこう」が 月額の最大の敵 です。Sonnet で十分なタスクに Opus を使い続けると、5 倍払い続けます。「=Sonnet で 2 回失敗してから Opus=」のルールを死守してください。

Pattern 5 — /cost を一度も見ない

測らないものは改善しません。1 日 1 回でいいので /cost を眺めましょう。眺めるだけで自然に最適化が走り出します。

Pattern 6 — エラー全文ペースト

スタックトレース 3,000 行をそのまま貼り付ける人がいますが、Claude にとって必要なのは最初の数行と末尾だけ です。

# 悪い例
> エラーが出た
(3000 行のスタックトレースを貼る)

# 良い例
> 以下のエラーが出た。原因候補を 3 つだけ。
(エラーメッセージ本体 + 関連する関数名だけ)

エラー本体だけなら 50 トークン です。スタックトレース全部だと 15,000 トークン です。300 倍違います。

Pattern 7 — 似た指示を別セッションで繰り返す

毎日「README.md を見て今日の進捗を要約して」とやっている人は、同じ前提を毎日キャッシュ作成しています。これは Claude Code のスラッシュコマンド化プロジェクトコマンド で 1 行化できます。

# .claude/commands/progress.md に保存
README.md を読んで今日の進捗を 5 行で要約して。

# 使うときは
> /progress

同じプロンプトをスラッシュコマンド にすると、毎回のタイピング時間も、思考のコンテキストスイッチも消えます。

考えてみよう

自己診断 — 上の 5 パターンのうち、過去 1 週間で 自分が 1 回でもやった ものはいくつありますか?

3 つ以上ある人は、明日からの 1 週間で「1 つだけ 直す」を選んで実行してみてください。1 週間で 1 つずつ潰せば、1 か月後にコストは確実に半分以下になります。


プロンプトキャッシュ をもう一歩深く

もう少しだけ踏み込んだ話題を 1 つ。

プロンプトキャッシュは、Anthropic API のヘッダ anthropic-beta: prompt-caching-2024-07-31 を内部的に使っています。Claude Code はこれを システム部分・CLAUDE.md・最初の Read 結果 に自動で適用します。

つまり、CLAUDE.md を編集した直後の最初のメッセージ は、キャッシュ作成コストとして少し高めになります。が、その後の 5〜10 ターンで回収できる構造になっています。

ポイント

CLAUDE.md は「まとめて編集して、長く使う」のが最適です。1 行直すたびに保存するより、5 か所まとめて編集してから保存するほうが、キャッシュ寿命が伸びます。

キャッシュ寿命の数字感

プロンプトキャッシュは 約 5 分間 有効です。これは Anthropic の公式仕様で、5 分以内に同じ先頭プロンプトが再送信されれば、入力単価が約 10% に なります。Sonnet の入力 $3/1M で考えると、$0.30/1M まで下がる計算です。

入力 100,000 トークンを 1 セッションで 10 回送る場合:
- キャッシュなし: 100k × 10 × $3/1M = $3.00
- キャッシュあり: 初回 $0.30 + 9 回 × $0.03 = $0.57
→ ==約 80% 削減==

これだけ差が出るので、キャッシュを意識した書き方 が長期的なコストに与える影響は無視できません。

キャッシュ判定の早見表

操作キャッシュへの影響
CLAUDE.md を編集して保存破棄
同じ会話で連続質問継続
5 分以上放置してから再開破棄
/compact 実行継続(要約が新キャッシュに)
/clear 実行破棄
新しいファイルを Read末尾追加(継続
気づき

キャッシュは Claude Code の隠れた生命線 です。

普段意識しなくても自動で動いていますが、破棄パターンを 1 つでも踏むと 一気にコストが跳ね上がります。「破棄しない動き方」が体に染みついた人と、毎回破棄してる人とでは、同じ作業で 5 倍 の差がつきます。


ツール権限の絞り込みでもコストが下がる

意外と知られていませんが、Claude が使えるツールの種類 もトークン消費に影響します。Claude は毎ターン、「自分が使えるツールの一覧」をシステムプロンプトの一部として認識しています。MCP サーバを大量に有効にする と、ここのトークン数が肥大します。

MCP サーバの最適化

# 使っていない MCP サーバを無効化
> /mcp
# → 一覧から不要なものを削る

# プロジェクト単位で必要な MCP だけ
# .mcp.json に書く(グローバル設定より優先)
MCP サーバ数システム部のトークン
0(純粋な Claude Code)約 3,500
3(Figma + DB + Search)約 8,000
10+(フル装備)約 25,000+

使っていない MCP は無効化 するだけで、毎ターン数千トークン節約できます。

ポイント

「とりあえず全部入れてある」MCP は、コストの逆効果 です。プロジェクトを切り替えたタイミングで、今のプロジェクトで本当に必要な MCP だけ にする習慣を持ちましょう。


並列処理を意識した依頼方法

Claude Code は 複数のツール呼び出しを並列実行 できます。これを意識した依頼の仕方で、試行錯誤の往復回数 を減らせます。

並列を活かす書き方

# 悪い例(逐次的)
> このファイルを読んで
(読んだ結果を見て)
> このファイルも読んで
(読んだ結果を見て)
> このファイルも

# 良い例(並列ヒント込み)
> 以下 3 ファイルを並行で読んで、共通する設定を要約して。
> - src/config.ts
> - src/env.ts
> - .env.example

1 ターンで複数の Read が走る形にすると、Claude 側で並列実行され、往復のオーバーヘッド が消えます。1 ターン分の入力トークンも 1 回分で済みます。

気づき

「逐次的に頼む」のを「まとめて頼む」に変える だけで、トークンと時間が同時に縮みます。Claude は意外と並列処理が得意なので、もっと信頼してまとめて投げて大丈夫です。


やってみよう — 1 セッション最適化チャレンジ

最後にハンズオン課題です。今日中に 1 回だけ試してください。

章末演習

1 セッション最適化チャレンジ — 所要時間 15 分

  1. 適当な作業(既存ファイルの軽い修正など)を 普段どおり Claude Code でやる
  2. 終わったら /cost で金額をメモ
  3. 同じ作業を /clear してから、以下のルールでやり直す
    • 最初に「説明は最小限。コードだけ返して」と書く
    • Sonnet で開始(必要なら途中で切り替え)
    • ファイル全文の貼り付けはしない、パスだけ伝える
  4. もう一度 /cost で金額をメモ
  5. 差を比べる

多くの人は、この 1 回の実験で コストが 40〜60% 落ちる のを実感します。実感した経験は記憶に残るので、以後は自然と最適化された使い方に寄ります。


まとめ

このレッスンで押さえてほしい 7 つです。

  1. コストは 単価ではなくループ回数で決まる。1 発で終わらせる工夫が最大の節約
  2. ==/compact は「要約して引き継ぐ」、/clear== は「忘れてやり直す」。場面で使い分け
  3. プロンプトキャッシュは プロンプト先頭の安定性 で決まる。CLAUDE.md は頻繁にいじらない
  4. CLAUDE.md は 600 行を超えたら分割。常識を分厚くしすぎない
  5. モデル選択は 「Sonnet で 2 回失敗したら Opus」 ルールが実用的
  6. 出力指定(「短く」「箇条書き」「説明不要」)は 出力トークン半減 の即効薬
  7. ==/cost を 1 日 1 回== 眺める。測らないものは改善しない

<Checklist items={["/cost を最低 1 日 1 回見ている","/compact と /clear を場面で使い分けている","CLAUDE.md が 600 行を超えていない","Sonnet をデフォルトにしている","出力フォーマットを指定する習慣がある","ファイル全文の貼り付けをやめた","プロンプトテンプレートを 3 つ以上持っている"]} />

<Quiz question="Claude Code の /compact/clear の違いとして最も正しいのはどれ?" options={["/compact は要約して文脈を保ち、/clear は全部リセットする","/compact は無料、/clear は有料","両方とも同じで、どちらを使っても結果は変わらない"]} answer={0} />

<Quiz question="出力トークンを削るのが効果的な理由として正しいのは?" options={["出力は入力の 5 倍の単価なので、削減効果が大きい","出力は無料なので削れば削るほど得","出力トークンはコストに影響しない"]} answer={0} />

次のレッスン 9-3: 月額予算 では、利用パターン別の月額目安と、API 従量制 / Max プランの切り替え判断基準を整理します。