3-1 Claude Code 初指示|最初に覚えるプロンプト 5 型
無料Claude Code への最初の指示文の書き方を 30 分で習得。あいまいさを消す 5 つの基本プロンプトパターン、Bad / Good 対比、確認すべき初期出力の見方まで。動く相棒に育てる最初の一歩。
このレッスンで身につくこと
第 3 章のスタート地点である本レッスンは、Claude Code に最初の指示を出す最初の 30 分 を扱います。インストールを終えてターミナルを開いた直後、「で、何を打てばいいんだっけ?」となる瞬間がほぼ全員に訪れます。そこで止まる人と、最初の 1 時間で 10 個のファイルを作れる人の差は、指示の出し方を 5 パターン知っているかどうか で決まります。
このレッスンのゴール
- 「いきなり大きい指示」がなぜ失敗しやすいのか、3 つの観点で説明できる
- 5 つの基本指示パターン(作って/読んで/実行して/一括処理/対話的に改善)を即座に使い分けられる
- 失敗あるある 5 つ(あいまい・文脈不足・詰め込み・前提ズレ・否定形)を踏み抜く前に避けられる
- 自分専用の 指示テンプレート 5 本 を手元にストックして、来週から実務で使える
- 「壊しても困らない場所」 で練習する習慣を身につける
所要時間 — 約 30 分(実機で 1 つずつ試すなら 60 分) 難易度 — ★☆☆☆☆(前提知識ゼロでも OK。第 2 章のインストールが終わっていれば即着手できる)
はじめに — 「最初の 1 個」が一番怖い
Claude Code をインストールして、ターミナルに claude と打って、> のプロンプトが出てきた瞬間 — ほぼ全員がフリーズします。
「何を打てばいいんだっけ?」「いきなり業務のあれを頼んだら壊れない?」「英語じゃないとダメ?」「変なことを書いたら API 料金が爆発する?」 — そんな小さな迷いが 10 個ほど積み重なって、結局その日は何も打たずに閉じてしまう。これが Claude Code の 最大の挫折ポイント です。
このレッスンの真の目的は、その「最初の 1 行」を投げ込ませること です。テクニックや料金体系の話は後回しでも構いません。とにかく、==読んでいる最中にもう 1 回ターミナルに戻って、> の右に何か打ってください。指示は 1 行で構いません。「hello.txt を作って」でも、「このフォルダにあるファイルを一覧表示して==」でも、何でもよい。
Claude Code は "練習相手" として最高のパートナーです。
人間の同僚に「下手な指示」を出すと気を遣わせます。AI に下手な指示を出しても、誰も傷つかないし、誰の時間も奪わない。最初の数十回は 下手で OK。むしろ、下手な指示で「想定外の結果」を浴びる経験が、後の上達速度を 3 倍にします。
ここから先は、「最初の 30 分」を最大化するための 5 つの基本パターン を紹介します。それぞれが独立した「型」なので、好きな順番で読み飛ばしても構いません。
なぜ「いきなり大きい指示」がダメなのか
5 つのパターンに入る前に、ひとつだけ 絶対に避けてほしい失敗パターン の話をします。それは 「いきなり大きい指示を出してしまう」 ことです。
具体例で見てみましょう。
> 当社の業務管理システムを作って。
> 勤怠・経費・有給申請・契約管理・顧客管理・売上分析が全部入っていて、
> モバイル対応で、Slack 通知も入っていて、Google カレンダーと連携して、
> 月末には自動でレポートが PDF で出てくるやつ。これ、たぶんあなたの頭の中の「Claude Code でやってみたい仕事」に近いはずです。でも、初日にこれを投げてはいけません。理由は 3 つあります。
理由 1 — 指示の解像度が結果の解像度になる
Claude Code は 指示が曖昧なら結果も曖昧 になります。「業務管理システム」と言われても、画面は何枚?データは MySQL?SQLite?認証は?権限は? — 100 の問いが Claude の頭の中で発生します。
そのまま走らせると、Claude は デフォルト判断の連続 で「それっぽい何か」を作ります。出来上がったものを見て「これじゃない」と言うと、修正に 1 時間かかる。最初の解像度の低さが、最後まで雪だるま式に膨らみます。
理由 2 — どこで間違えたか分からなくなる
大きい指示を出すと、Claude は途中で たくさんの判断 をします。データベース選び、フォルダ構成、ライブラリ選び、命名規則、認証方式、UI フレームワーク、ファイル分割 — どれか 1 つ間違えただけで、最終物が崩れます。
そして どこで間違えたかが追跡できなくなる。「全部やり直す」しかなくなり、結果として 30 分かけて学べたはずのことを 30 分かけてやり直す ことになります。
理由 3 — トークンコストが跳ね上がる
第 1 章で触れたとおり、Claude Code は トークン量に応じて課金 されます。大きい指示は、1 回の応答が長く・往復が多くなりがち で、1 セッションで $5 を超えることも珍しくありません。
小さい指示を 10 個積み重ねるほうが、合計コストは半分以下になることが多い です。これは「コード生成」というタスクの性質によるもので、長い文脈を保ったまま全体を作るより、短い指示で部品を作って組み立てるほうが、圧倒的にトークン効率が良いからです。
初日の地雷指示の典型例
- 「業務システムを一通り作って」
- 「ECサイトを作って、決済も入れて、在庫も連動させて」
- 「うちの Excel データを全部 AI で分析できるシステム にして」
- 「チャットボット を作って Slack に組み込んで顧客対応を自動化して」
これら全部、最終的には実現できます。でも初日のあなたが今日 30 分で着手すべきものではない。第 5〜10 章で順に積み上げていく内容です。
初日の良い指示の典型例
- 「hello.txt を作って、中身は『Claude Code 触ってます』」
- 「カレントディレクトリのファイル一覧を ==
ls -la== で表示して」 - 「サンプル CSV を 10 行作って、列は『日付・商品・金額』」
- 「この CSV を読んで、合計金額 を計算して」
小さい・確認できる・壊れない が初日指示の三原則です。
ここからは、その「小さい指示」を 5 つのパターン に分けて紹介します。
基本パターン 1 — 「○○を作って」型
最初に覚えるパターンは、「○○を作って」 です。これが Claude Code の 80% を占めるくらいの基本動詞。ファイル作成・テンプレ作成・サンプル生成、ぜんぶこの型です。
形
> {何を} を作って。
> {細かい仕様: 名前・項目・形式・サイズ など}例 1 — hello.txt
最初の 1 行はこれで OK。
> hello.txt を作って。中身は「Claude Code を触り始めました 2026-05-19」Claude Code は「ファイルを書き込みますか?」と確認してきます。==y でファイル作成 。これだけで、あなたは Claude Code に最初の指示を出した人類== に分類されます。
「これ何の意味があるの?」 と思うかもしれません。意味は、Claude Code が確認プロンプトを出す体験を一度経験すること です。あの (y/n) を 1 回見ておけば、次から「勝手にディスクが書き換わるかも」という不安が消えます。
例 2 — index.html
次は HTML を 1 枚。
> index.html を作って。
> 「こんにちは、Claude Code」と表示する H1 タグだけのシンプルなページ。
> 日本語が文字化けしないよう charset=utf-8 を入れて。出来上がったファイルをダブルクリックして、ブラウザで開いてみてください。「あ、ちゃんと表示される」という感覚を 1 度味わうことが大事です。
例 3 — sample.csv
サンプルデータも 1 行で作れます。
> sample.csv を作って。列は「日付, 商品, 金額」。
> 2026-05-01〜2026-05-10 の 10 行分、それっぽいダミーデータ。
> 金額は 500〜5000 円の範囲でばらつかせて。後のパターンで「読み込む」「集計する」「グラフ化する」と段階的に深めていけます。サンプル CSV は 練習素材として最強 なので、最初に 1 個作っておくのを習慣にしましょう。
例 4 — README.md
ドキュメントもこのパターン。
> README.md を作って。
> プロジェクト名は「claudecode-practice」、
> 目的は「Claude Code を 30 日で習熟する」、
> セクションは「概要・進め方・成果・参考」の 4 つ。
> 各セクションは見出し + 2-3 行の本文をプレースホルダで。プレースホルダで というのが地味な技。「ここは後で書く」を Claude にやらせて、箱だけ用意 してもらうと、自分の頭が整理されます。
「作って」型のコツ — 「何を/どんな形で/何を含めて」
「作って」型の指示は、次の 3 つを最低限入れると 結果が安定 します。
| 要素 | 例 |
|---|---|
| 何を | hello.txt / index.html / sample.csv |
| どんな形で | 「シンプルな」「Bootstrap 使用」「カンマ区切り」 |
| 何を含めて | 「H1 だけ」「10 行のダミー」「4 セクション」 |
「これ思ったのと違う」 と感じたら、どの要素が抜けていたか を 3 つの軸で振り返ってください。9 割は「何を含めて」の不足です。「シンプルな会社概要ページ」より「会社概要ページ(社名・設立年・代表・住所・電話の 5 項目)」のほうが、結果が 10 倍安定します。
基本パターン 2 — 「○○を読んで要約」型
次のパターンは 「○○を読んで要約」 です。Claude Code は、自分のディスクにあるファイルを 自由に読める ので、長いドキュメントを要約させるのが圧倒的に速いです。
形
> {ファイル名 / フォルダ} を読んで、{何を / どう要約 / 何形式で} 出して。例 1 — README を要約
> README.md を読んで、3 行で要約して。たった 1 行 ですが、これだけでも実用的。長い README を毎回読み直すコストが、3 行に圧縮されます。
例 2 — フォルダ全体の俯瞰
> このフォルダの中身を再帰的に見て、何のプロジェクトか 5 行で説明して。新しい職場の引き継ぎフォルダを渡されたとき、これが 入口の地図 になります。==ls -R を眺めても分からなかったプロジェクトが、5 行の自然文で見えてくる==。
例 3 — エラーログを読ませる
> error.log を読んで、頻発しているエラーパターンを 3 つに分類して。
> それぞれの発生回数と、推定原因も書いて。1000 行のログを目で追う仕事を 10 秒に圧縮 できます。Claude Code が「分類して」「カウントして」をやってくれるので、人間は 推定原因の検証 に集中できます。
例 4 — 議事録から TODO 抽出
> meeting-2026-05-18.txt を読んで、TODO 項目だけを抽出して。
> 形式: 「- [ ] 担当者: TODO 内容 (期限)」
> 担当者・期限が明示されていないものは「(要確認)」と書く。これも実務で頻繁に使うパターン。議事録の生テキストを渡すだけで、アクションリストの草稿が 30 秒で出てきます。
「読んで要約」型のコツ — 「何形式で・何文字で・何を残すか」
「読んで」型の指示は、出力形式を明示 すると安定します。
| 要素 | 例 |
|---|---|
| 何形式で | 「3 行で」「箇条書き 5 個で」「Markdown のリストで」 |
| 何文字で | 「200 文字以内」「1 ページ収まる長さ」 |
| 何を残すか | 「数字は必ず保持」「人名は元のまま」「日付は省略可」 |
要約させるときの黄金プロンプト
「読んで、{形式} で要約。{保持すべき情報} は省略しないで」
これを 1 文で書けるようになると、読まないといけない資料が 1/10 に圧縮 されます。日々の情報処理量が 10 倍になる、地味だが破壊力のあるパターンです。
基本パターン 3 — 「○○を実行して結果報告」型
3 つ目のパターンは 「○○を実行して結果報告」 です。Claude Code は シェルコマンドを自分で実行 できるので、「動かしてみてどうだったか」までを 1 セットで頼めます。
形
> {コマンド / スクリプト / テスト} を実行して、結果を {要約 / 評価 / 整形} して。例 1 — シンプルにコマンドを叩く
> このフォルダで `du -sh *` を実行して、サイズが大きい順に並び替えて。これだけで、どのフォルダが容量を食っているか が一目瞭然。==自分で du のオプションを思い出さなくていい== のが地味に楽です。
例 2 — Python スクリプトを書いて実行
> sample.csv を読み込んで、金額列の合計を計算する Python スクリプトを書いて、
> そのまま実行して結果を教えて。Claude Code は スクリプトを書く → 実行する → 結果を報告 までを 1 ターンでやってくれます。「書いて終わり」じゃなく、「結果まで含めて報告」 というのがこのパターンの肝。
例 3 — テストを動かす
> `npm test` を実行して、失敗したテストだけを抽出して。
> 失敗の原因が「同じパターン」のものはまとめて分類して。CI の失敗ログを目で追う地獄 から解放されます。「同じ原因で 30 件落ちている」のような分類を、Claude が自動でやってくれます。
例 4 — 結果に応じて次のアクションも頼む
> `git status` を実行して、未コミットの変更があれば内容を 3 行で要約して。
> 変更がなければ「クリーン」と答えて。条件分岐を含めた指示 も自然に通ります。1 つのコマンドで「状態確認 + 要約」を済ませる 流儀に慣れると、定型作業がほぼゼロ秒で片付きます。
「実行して」型のコツ — 「実行 + 観察 + 報告」を 1 セットで
「実行して」型の指示は、実行・観察・報告 の 3 ステップを 1 つの指示にまとめると効果が最大化します。
| ステップ | 何を頼むか |
|---|---|
| 実行 | 「{コマンド} を実行して」 |
| 観察 | 「結果から {何} を読み取って」 |
| 報告 | 「{形式} で教えて」 |
実行系の指示には必ず安全弁 を入れてください。「==rm や git push は実行する前に必ず確認を求めて==」と書いておくと、勝手に破壊的な操作が走るリスクをほぼゼロにできます。第 9 章「コスト・安全」で深く扱います。
基本パターン 4 — 「複数の○○を一括処理」型
4 つ目は 「複数の○○を一括処理」 です。Claude Code の真価が出るパターン。同じ作業を 100 回繰り返す ような仕事を、1 行の指示で終わらせます。
形
> {対象のパターン} を全部対象に、{処理} を一括で実行して。例 1 — 100 個のファイル名を一括変換
> このフォルダにある photo-*.JPG を全部、photo-*.jpg にリネームして。
> 拡張子だけ小文字に。手動でやったら 5 分、Claude にやらせると 5 秒。それも、Bash のループ を書いて実行するという、本来は中級者向けの作業を 日本語で頼める。
例 2 — 全 PDF からテキスト抽出して 1 つの CSV へ
> このフォルダの全 PDF からテキストを抽出して、
> ファイル名 + 本文の最初の 200 文字を 1 行ずつ、summary.csv にまとめて。営業資料・契約書・領収書の山を、1 つの検索可能な表に変える定番技。情報の埋蔵量 が一気に変わります。
例 3 — 複数 Markdown を 1 つの index に集約
> docs/ 配下の全 *.md を読んで、ファイル名・タイトル(H1)・1 行サマリーを
> index.md にまとめて、ファイル名でアルファベット順に並べて。ドキュメントが散らかったプロジェクト を、自分用の目次ファイルで救う技。検索性が即座に上がります。
例 4 — 全ファイルから共通パターンを抽出
> このフォルダの全 *.log を grep して、
> ERROR / WARN の出現回数をファイル別に集計して。
> 表形式で出して。==grep -r と awk と sort の組み合わせ を、自分で書かなくていい。コマンドの暗記が不要 になることで、Linux コマンドが急に親しみやすくなる== 副次効果もあります。
「一括処理」型のコツ — 「対象範囲・処理内容・出力先」を明示
一括処理は 規模が大きい ので、3 つの軸を必ず明示してください。
| 要素 | 例 |
|---|---|
| 対象範囲 | 「このフォルダの」「*.csv を」「サブフォルダも含めて」 |
| 処理内容 | 「リネーム」「抽出」「集計」「マージ」 |
| 出力先 | 「output/ に」「summary.csv に」「画面に表示」 |
一括処理の事故ゼロ呪文
「処理を始める前に、対象ファイル数と処理内容を一覧で報告して。承認したら実行して」
これを頭につけるだけで、100 ファイル一括破壊 の事故が消えます。第 3 章レッスン 3「Excel 整理」でも繰り返し出てくる Excel 整理の事故ゼロ呪文 と同じ思想です。
基本パターン 5 — 「対話的に改善」型
5 つ目は 「対話的に改善」 です。これは型というより 姿勢 に近い。一発で完璧を目指さず、3〜5 ターンで仕上げる 心構えです。
形
> (Turn 1){初期版を作って}
> (Turn 2){ここを変えて}
> (Turn 3){これも追加}
> (Turn 4){もう一回見直して}例 — ランディングページを 4 ターンで仕上げる
Turn 1 — まずざっくり作る。
> 架空のカフェ「CAFE BLUE」のランディングページを HTML 1 枚で作って。
> メニュー(コーヒー、ラテ、カプチーノ)と営業時間(9:00-18:00)を載せて。Turn 2 — 見た目を整える。
> さっきのページ、もう少しモダンなデザインにして。
> 配色は青系、フォントは Inter。Turn 3 — 要素を追加。
> ヘッダーにロゴ用のプレースホルダ(150x40)と、
> フッターに「営業時間外はテイクアウト不可」の注意書きを追加。Turn 4 — 仕上げ。
> 全体を見直して、レスポンシブ対応を確認して。
> スマホでも崩れないか、CSS の問題があれば直して。4 ターン使って 5 分で 1 ページ 。Turn 1 で完璧を目指していたら 30 分かけても 60% の出来 だったはず。細切れにすることで、結果が安定する というのが対話的改善の核心です。
「対話的に改善」型のコツ — 「8 割 → 2 割」の分割
完璧な指示で 100% を狙うより、8 割の指示で 8 割の結果を出してから、2 割を会話で詰める ほうが、合計時間が短くなります。
| アプローチ | 所要時間 | 結果 |
|---|---|---|
| 一発で完璧を目指す | 30 分 + 修正 30 分 = 60 分 | 70% の完成度 |
| 8 割 → 2 割で詰める | 5 分 × 4 ターン = 20 分 | 95% の完成度 |
Claude Code は対話的に動かすのが本来の使い方。
「いきなり完璧」より「ラフ → 修正 → 修正」のループに馴染んでください。これは LP 作成だけでなく、Excel 整理、レポート作成、コードレビューなど すべての作業に共通する原則 です。試行錯誤の回数が、最終物の品質を決めます。
5 つのパターンを 1 枚にまとめる
ここまでの 5 パターンを 1 枚に圧縮します。このカードを Notion や Obsidian や Slack の自分宛 DM に貼っておく と、来週から実務で迷わなくなります。
| パターン | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 作って | 「{何} を作って。{仕様}」 | 「sample.csv を 10 行作って」 |
| 読んで要約 | 「{ファイル} を読んで {形式} で要約」 | 「README を 3 行で要約」 |
| 実行して報告 | 「{コマンド} を実行して結果を {形式} で」 | 「npm test 実行して失敗だけ抽出」 |
| 一括処理 | 「{範囲} を全部 {処理} して {出力先} に」 | 「*.JPG を全部小文字拡張子に」 |
| 対話的改善 | 「{ラフ} → 修正 → 修正 → 仕上げ」 | 「LP を 4 ターンで仕上げる」 |
5 パターンの覚え方
頭文字を取ると 「作・読・実・一・対」(さく・どく・じつ・いち・たい) 。語呂を覚えなくても、「Claude Code に何かを頼む時、必ずこの 5 種類のどれかに収まる」 という地図を持っているだけで、指示の組み立て速度が体感 3 倍 になります。
プロンプト失敗あるある 5 つ
5 パターンを覚えても、失敗するときは失敗します。最初の 30 日でほぼ全員が踏む失敗を、5 つ並べておきます。事前に知っておけば 8 割は回避できます。
失敗 1 — あいまい指示で「想定外」が量産される
> いい感じのページを作って「いい感じ」は Claude にも分かりません。Claude のセンスは 学習データの平均値 なので、凡庸な「それっぽい」 が返ってきます。
対策 — 「いい感じ」を 3 つの形容詞に置き換える。「モダンで・余白多めで・青系で」のように、形容詞は最低 3 つ重ねる。これだけで結果が劇的に絞れます。
失敗 2 — 文脈不足で「再現できない」と返される
> このデータを集計して「このデータ」がどこにあるのか、Claude には分かりません。ファイルパスが暗黙的に共有されていると勘違い するのが、人間がやりがちな最大のミス。
対策 — ファイル名・場所・形式を明示。「==./data/sales.csv を読んで、商品列でグループ化して合計を出して==」のように、ファイルパス・対象列・処理内容を 1 文に詰め込む。
失敗 3 — 一度に詰め込みすぎて「どこで間違えたか」が消える
> CSV を読んでデータを集計して HTML レポートを作って
> グラフも入れて Slack 通知もして PDF にもエクスポートして「読んで・集計して・HTML・グラフ・Slack・PDF」の 6 工程を 1 指示にまとめると、どこかで必ず破綻 します。Claude が誤解しても、人間も追跡できません。
対策 — 1 指示 1 ゴール。「まず CSV を読んで集計→HTML レポート」だけ。Slack 通知や PDF はその後で。小さく刻んで・確認しながら・積み上げる。
失敗 4 — 前提ズレ(環境・バージョン・パスの違い)
> Python スクリプトで Excel を開いて処理してPython のバージョンは?openpyxl は入ってる?Mac?Windows?Excel のパスは? — 前提が共有されないと、Claude のデフォルト判断と環境が食い違って動かない ことが頻繁に起こります。
対策 — 環境の前提を最初に伝える。「==Mac、Python 3.11、openpyxl インストール済み==」のように、最初の指示か、CLAUDE.md(第 5 章で学ぶ)に書いておくと、毎回明示しなくて済みます。
失敗 5 — 否定形だらけで「何をしてほしいか」が伝わらない
> 派手じゃなくて、ごちゃごちゃしてなくて、英語じゃなくて、
> 縦長すぎなくて、画像が重くなくて、JavaScript を使いすぎないように「〜じゃない」を 6 回重ねた指示 は、Claude にも人間にも理解困難です。否定形は 選択肢を絞らない ので、結果が安定しません。
対策 — 肯定形に翻訳。「落ち着いた配色で・余白多めで・日本語で・1 画面に収まる長さで・SVG アイコンで・CSS だけで」のように、「やってほしいこと」 に書き換える。否定 1 個=肯定 1 個 に翻訳する習慣を。
失敗あるある 5 つの再掲
- あいまい — 「いい感じ」「ちゃんと」「きれいに」
- 文脈不足 — 「このデータ」「あれ」「さっきの」(指示文単独で意味が成立しない)
- 詰め込み — 1 指示に 5 工程以上
- 前提ズレ — 環境・バージョン・パスを共有していない
- 否定形多用 — 「〜じゃない」「〜しないで」を重ねる
指示を出す前のセルフチェック 5 つ
- 形容詞は 3 つ以上重ねたか?
- ファイル名・パスを明示したか?
- 1 指示 1 ゴールに絞ったか?
- 環境前提(OS・言語・バージョン)は伝えたか?
- 否定形を肯定形に置き換えたか?
プロンプトテンプレート集 — そのままコピペで使える 5 本
ここまでの内容を凝縮したテンプレを 5 本置いておきます。手元の Notion や Obsidian や CLAUDE.md にコピペしておくと、来週からの仕事が変わります。
テンプレ 1 — 作って型(ファイル生成)
> {ファイル名} を作って。
> 形式: {HTML / CSS / Python / Markdown / CSV など}
> 含める要素:
> - {要素 1}
> - {要素 2}
> - {要素 3}
> 制約: {文字コード / フレームワーク / 行数 など}
> 出力場所: {パス}テンプレ 2 — 読んで要約型
> {ファイル / フォルダ} を読んで、以下の形式で要約して。
> 形式: {3 行 / 箇条書き 5 個 / 表 / Markdown のリスト}
> 必ず保持する情報: {数字 / 人名 / 日付 / etc}
> 省略してよい情報: {挨拶 / 重複 / 形式的な前置き}テンプレ 3 — 実行して報告型
> 以下を実行して結果を報告して。
> コマンド: {コマンド / スクリプト}
> 観察ポイント: {失敗だけ / 件数 / 異常値}
> 報告形式: {3 行 / 表 / 上位 5 件}
> 安全弁: 破壊的操作(rm / git push / DROP など)は実行前に確認テンプレ 4 — 一括処理型
> 以下の一括処理を実行して。
> 対象範囲: {このフォルダ / *.csv / サブフォルダ含む}
> 処理内容: {リネーム / 抽出 / 集計 / マージ}
> 出力先: {ファイル名 / 標準出力}
> 必須ルール:
> 1. 元ファイルは変更しない
> 2. 処理前に対象ファイル数と処理内容を報告
> 3. 承認後に実行テンプレ 5 — 対話的改善型
> (Turn 1)まず {対象} のラフ版を作って。
> 要素は最低限の {最小要素}。デザインや細部は後で詰める。
> (Turn 2 以降は会話で)
> - 「{部分} を {こう} 変えて」
> - 「{要素} を追加して」
> - 「全体を見直して {観点} で改善して」このテンプレ集は ==第 5 章で学ぶ CLAUDE.md にコピペしておくと、毎回テンプレを引っ張り出さなくても Claude Code が 自然に従ってくれる== ようになります。「自分専用の指示ガイドライン」として育てていきましょう。
やってみよう — 30 分で 5 パターン全部を 1 回ずつ叩く
ここまで読んだら、今日中に 5 パターンを 1 回ずつ叩いてください。30 分で全部できます。読んで終わると、明日には忘れます。
30 分メニュー
5 分 × 5 タスク。手元のターミナルで順番にやるだけ。
| 時刻 | パターン | 指示 |
|---|---|---|
| 0 | 作って | 「hello.txt と sample.csv(10 行のダミー)を作って」 |
| 0 | 読んで要約 | 「sample.csv を読んで 3 行で要約」 |
| 0 | 実行して報告 | 「sample.csv の合計金額を Python で計算して結果を報告」 |
| 0 | 一括処理 | 「カレントディレクトリの全ファイルを名前と行数で一覧表示」 |
| 0 | 対話的改善 | 「sample.csv をグラフ化した HTML を作って」→「色を変えて」→「タイトル追加」 |
| 0 | 振り返り | 「今日試した 5 つの指示で、一番難しかったのはどれ?理由を 3 行で」 |
最後の 0
は Claude に振り返らせる のがポイント。自分の指示の癖 を Claude に分析させると、次回の指示が明らかに上手くなります。「壊しても困らない場所」を 1 つ作る
実機で叩く前に、練習用フォルダ を 1 つ作ってください。
mkdir ~/claudecode-practice
cd ~/claudecode-practice
claudeこのフォルダは 「壊しても困らないサンドボックス」 です。Claude Code はカレントディレクトリを起点に動くので、このフォルダの中だけで好き放題やる 限り、業務ファイルや個人ファイルが事故で壊れることはありません。
練習用フォルダの黄金ルール
- フォルダ名に "practice" や "sandbox" を入れる(自分への注意喚起)
- 業務ファイルや個人ファイルは絶対に置かない
- 壊れたら丸ごと削除して作り直す くらいの気軽さで使う
- 慣れてきたら 別フォルダで実業務 に移行する
1 問だけ問いかけ — あなたが今日、5 パターンのうち どれを最初に試したい ですか?
「作って」型が一番取り組みやすいですが、業務で 今すぐ役に立つ のは「読んで要約」型と「一括処理」型です。30 日後にどんな景色を見たいか で順番を決めてください。
まとめ
このレッスンで押さえてほしいことを 6 つ並べます。自分の言葉で 3 行で説明できる ようになるまで、何度か戻ってきても OK です。
- 「いきなり大きい指示」は NG。最初は小さく・確認できる・壊れないを徹底
- 5 つの基本パターン(作る・読む・実行・一括・対話)で 80% の業務がカバーできる
- 指示は 形容詞 3 つ重ね・ファイルパス明示・1 指示 1 ゴール の 3 原則
- 否定形を肯定形に翻訳 する習慣をつける(「派手じゃなく」→「落ち着いた配色で」)
- 対話的改善 — 8 割 → 2 割で詰めるほうが、合計時間が短くなる
- 練習用フォルダ を 1 つ作って、最初の 30 日はそこで遊ぶ
章末演習 — 読み終わるだけで終わらせず、30 分以内に手を動かしてください。
- ==
~/claudecode-practiceを作る== —mkdirしてcdしてclaude起動するところまで - 5 パターンを 1 回ずつ叩く — 上の 30 分メニューをそのままなぞる
- 失敗あるある 5 つを 1 回ずつわざと踏む — 「あいまい指示」「文脈不足」を意図的に試して、Claude がどう困るかを観察する(これが上達の最短ルート)
- テンプレ 5 本を自分用に書き換える — 自分の業務に合わせて
{}の中を埋める。Notion か CLAUDE.md に保存 - 振り返りログを残す — 「今日感じた驚き」と「次回試したいこと」を 5 行で
<Quiz question="Claude Code に最初の指示を出すとき、最も避けるべきパターンはどれ?" options={["業務システム全体を 1 つの指示で作らせる","1 つのファイルだけ作る小さな指示から始める","練習用フォルダを作ってからその中で叩く"]} answer={0} />
<Quiz question="「いい感じのページを作って」が失敗指示になる主な理由は?" options={["Claude Code が日本語を読めないから","「いい感じ」の解像度が低く、結果が凡庸になりがちだから","API 料金が高くなるから"]} answer={1} />
次のレッスン 3-2: ファイルを作らせる では、本レッスンで覚えた 「作って」型 を、HTML・Markdown・Python・CSV など ファイル形式別 に深掘りします。「実務で使えるファイル」を 自分の業務向け に量産する型を体に入れます。