3-3 Claude Code で Excel/CSV データ整理を自動化
無料日常業務で最も多い Excel・CSV データの整理を Claude Code に丸投げする実践ガイド。重複削除、列整形、フォーマット統一、複数ファイル結合まで、コピペで使えるプロンプト付きで解説します。
このレッスンで身につくこと
入門編の最後を飾るこのレッスンは、Claude Code の費用対効果を一番感じやすい題材、つまり「Excel 整理」を扱います。経理・営業・人事・マーケなど、職種を問わず誰もが触る表データを、AI にどこまで・どうやって任せるか — そのリアルな勘所を体に入れます。
このレッスンのゴール
- なぜ「Excel/CSV 整理」が Claude Code に圧倒的に向いているのか、3 つの理由で説明できる
- 売上・顧客・在庫など 7 つの典型シナリオ それぞれで、どんな指示文を投げればよいか即答できる
xlsxを直接編集する場合と、==csv経由==に変換してから処理する場合の使い分けを判断できる- 文字化け・型崩壊・マクロ干渉という 3 大失敗パターンを事前に回避できる
- 自分専用の プロンプトテンプレート を 3 本以上ストックして、来週から実務で使い始められる
所要時間 — 約 45 分(手元の Excel を開きながら読むなら 60 分) 難易度 — ★★☆☆☆(前提知識ゼロでも OK。手元に CSV か xlsx が 1 つあると体験が濃くなる)
なぜ「Excel 整理」が Claude Code に向いているのか
第 3 章の最後にあえて Excel を選んでいるのには理由があります。Excel 整理は Claude Code の "ヒット率" が最も高い領域だからです。3 つの観点で見ていきます。
理由 1 — 入力と出力が「テキスト」だから
Excel ファイル (.xlsx) は中身がバイナリ圧縮された XML ですが、1 ステップ CSV に変換すれば、ただのプレーンテキストになります。Claude Code はテキストの読み書きが本業なので、CSV になった瞬間に「文字列処理+ちょっとした計算」という 最も得意な土俵に持ち込めます。
逆に言うと、PDF からの画像抽出やフォントレンダリングの再現といった バイナリ寄りの仕事は Claude Code の得意分野ではありません。Excel 整理が向いているのは、表データという形式が「整列したテキスト」の典型例だからです。
理由 2 — 「正解」が業務知識ではなく形式だから
「2026 年 4 月の売上合計を商品カテゴリ別に出して」という依頼は、業務知識を必要としません。必要なのは SUM と GROUP BY という形式の組み合わせだけです。Claude Code はこの「形式」を見抜くのが極めて得意です。
一方、「この案件、A 社と B 社どっちに振るべき?」のような 文脈と暗黙知が必要な判断は Claude Code の得意分野ではありません。Excel 整理は「機械的に書き換えられる」作業の宝庫なので、ヒット率が高いのです。
理由 3 — 失敗してもやり直しが効くから
Excel 整理は、元ファイルさえコピーしておけば、結果が気に入らなくても作り直し放題です。Claude Code への指示は「壊しても困らない」ことが第一歩。Excel 整理は、その条件を コピー 1 回 でクリアできます。だから入門者の最初の練習台として最適です。
「テキスト・形式・やり直し可能」。この 3 つが揃った領域は、Claude Code に丸投げするコスパが最強です。
逆に「バイナリ・暗黙知・取り返しがつかない」が揃った領域には絶対に丸投げしないでください。Excel 整理は前者の代表、本番 DB の DELETE は後者の代表です。
想定シナリオ 7 連発 — あなたの業務はどれ?
ここから、Excel 整理の典型シナリオ 7 つを駆け足で並べます。自分の仕事に近いものから読み飛ばし不要で読むのがおすすめです。
シナリオ 1 — 売上 CSV から月別レポートを作る
毎月末、営業から送られてくる sales-2026-04.csv を集計して、社内共有用の HTML レポートにする仕事です。
> sales-2026-04.csv を読み込んで、商品カテゴリ別の月次サマリーを作って。
> 合計売上・件数・前月比・上位 5 商品ランキングを含む HTML レポートにして。
> ファイル名は report-2026-04.html。グラフは Chart.js で。所要 5 分。同じ作業を Excel のピボットで毎月やっていた人にとっては、これだけで 1 ヶ月あたり 2 時間が浮きます。
シナリオ 2 — 顧客リストを 3 ファイル → 1 つに統合
CRM ツール A、メールマガジン配信ツール B、名刺管理アプリ C から個別にエクスポートした顧客 CSV を、1 つのマスター CSV に統合する仕事です。
> 以下 3 ファイルを「メールアドレス」をキーに統合して。
> - customers-crm.csv (会社名、担当者、ステータス)
> - customers-ml.csv (メール、配信状態、最終配信日)
> - customers-card.csv (会社名、役職、電話番号)
> 同じメールアドレスは 1 行にマージし、列名はわかりやすい日本語に統一。
> 重複は最新行を優先。出力は customers-master.csv。所要 1 分。手作業の VLOOKUP 3 連打が消えます。
シナリオ 3 — 在庫管理 — 不揃いな入力を統一
倉庫担当者が手入力した stock.xlsx の表記揺れを正規化する仕事です。「リンゴ/りんご/林檎/Apple」が混在しているような状況です。
> stock.xlsx の「商品名」列を以下のルールで正規化して。
> 1. 半角カナを全角カナに統一
> 2. ひらがな・カタカナ・漢字・英字が混在する場合は「漢字 (英字)」形式に統一
> 3. 表記揺れの最終形は items-master.csv の「正規名」列を正解とする
> 4. 正規化できなかった行は別シート「要確認」に書き出す
> 出力は stock-cleaned.xlsx。元ファイルは変更しない。所要 2 分。半日かけて手作業していた表記揺れ統一が、お茶を入れている間に終わります。
シナリオ 4 — 経費精算 — 領収書 CSV を仕訳形式に変換
クレジットカード会社からダウンロードした card-statement.csv を、会計ソフトに取り込める仕訳形式に変換する仕事です。
> card-statement.csv を読み込んで、freee に取り込める仕訳 CSV を作って。
> 列順は「日付, 借方勘定科目, 借方金額, 貸方勘定科目, 貸方金額, 摘要」。
> 摘要から「コンビニ/飲食店/交通機関/クラウドサービス」を自動判別して
> 勘定科目を割り当てる(消耗品費/会議費/旅費交通費/通信費)。
> 判定に迷うものは「要確認」勘定科目に。
> 出力は freee-import-2026-04.csv。所要 1 分。会計ソフトの取り込み形式に合わせる手間を、毎月 30 分削減できます。
シナリオ 5 — アンケート集計 — 自由記述の分類
Google フォームでとった survey-results.csv の自由記述列を、AI に分類してもらう仕事です。
> survey-results.csv の「Q5: ご意見・ご要望」列を分析して、
> 以下のカテゴリに自動分類してください。
> - 機能要望 / バグ報告 / 価格への意見 / ポジティブ感想 / その他
> 分類結果を新しい列「カテゴリ」として追加し、
> カテゴリ別の集計シートも別ファイルで作って。
> 出力は survey-classified.xlsx。所要 3 分。500 件の自由記述を手で分類していた地獄が、コーヒー 1 杯で済みます。
シナリオ 6 — 在庫管理(応用)— 発注点アラート
stock.xlsx の在庫数と発注リードタイムから、今週発注すべき商品リストを自動生成する仕事です。
> stock.xlsx を読み込んで、以下の条件で「発注候補」リストを作って。
> 条件: 現在在庫 ÷ 直近 30 日平均出荷数 ≦ 発注リードタイム + 7 日
> 出力列: 商品コード、商品名、現在在庫、平均出荷、推奨発注数、リードタイム、緊急度
> 緊急度は「高 / 中 / 低」の 3 段階。
> 緊急度「高」だけを Slack 通知用のテキストにも整形して。
> ファイル名は order-suggestions-2026-W20.csv と slack-alert.txt。所要 5 分。エクセル方眼紙の発注台帳から脱却するだけで、欠品リスクと過剰在庫が同時に減ります。
シナリオ 7 — 採用候補者管理 — スコアリングと並び替え
応募者管理シート candidates.xlsx に、面接官の評価コメントが 自由記述で散らかっている 状態を整理する仕事です。
> candidates.xlsx を読み込んで、以下を実行して。
> 1. 「面接コメント」列を「技術 / カルチャー / 意欲」の 3 観点で 5 段階スコア化
> 2. 各観点のスコアと合計スコアを新しい列として追加
> 3. 合計スコア降順に並び替え
> 4. スコア 12 点以上を「次面接候補」シートに分離
> 5. スコア 6 点以下を「お祈り」シートに分離
> 出力は candidates-ranked.xlsx。元ファイルは保持。所要 5 分。人事評価の主観を「数値化された主観」に変えることで、議論の土台ができます。
シナリオ 7 連発を眺めてみて、「あ、これ自分の仕事だ」と思えるものが 1 つでもあれば 今日のレッスンは元が取れています。1 つでもあれば、来週の同じ作業時間が 1/10 になります。
実演 1 — 売上 CSV から月別 HTML レポート
ここからは画面の中で実際に動かす想定で、3 つの実演を順番に見ていきます。あなたの手元で同じことが起こることをイメージしながら読んでください。
Step 1 — サンプル CSV を作らせる
手元にデータがない人でも進められるように、まず Claude Code にサンプル CSV を作ってもらいます。
> sales-2026-04.csv というサンプル売上 CSV を作って。
> 列は「日付, 商品コード, 商品名, カテゴリ, 数量, 単価, 売上」。
> カテゴリは「飲料 / 食品 / 雑貨 / 衣料」の 4 種類。
> 4/1〜4/30 の範囲で 200 行のリアルなダミーデータを入れて。
> 売上 = 数量 × 単価。商品名は架空のもので OK。Claude Code は ==Python の csv モジュールで書き出す短いスクリプトを作って実行し、その場で 200 行の CSV を生成します。出力されたファイルを表計算ソフトで開いてみれば、"それっぽい"== データが並んでいるはずです。
Step 2 — 集計してレポート化
次に、その CSV を読み込んで HTML レポートにします。
> sales-2026-04.csv を読み込んで月次レポートを HTML で作って。
> 含める要素:
> - 月間総売上(カンマ区切り)
> - カテゴリ別売上の円グラフ(Chart.js 使用)
> - 商品別売上トップ 10 の棒グラフ
> - 日別売上推移の折れ線グラフ
> - 全データのテーブル(ソート可能、検索可能)
> デザインはモダンで A4 印刷にも耐えるレイアウト。
> 出力は report-2026-04.html、自己完結 1 ファイル。自己完結 1 ファイル というのが地味に大切です。CSS や JS を別ファイルに分けると、メール添付や Slack 共有のときに面倒なので、HTML 1 枚で完結させると現場での流通が一気に楽になります。
Step 3 — 細かい修正を会話で重ねる
レポートが出てきたら、気に入らない部分を 追加指示で直していきます。Claude Code は前の会話を覚えているので、「さっきの」で通じます。
> さっきの report-2026-04.html、円グラフの色をもう少し落ち着いた配色にして。
> あと、テーブルの「売上」列はカンマ区切りで右寄せに。
> ヘッダーに会社ロゴ用のプレースホルダー(200x60)を追加。1 回で完璧を目指さない。これは前のレッスンでも触れた原則ですが、Excel 整理でも同じです。「8 割の状態で出してもらって、2 割を会話で詰める」 のが最も時間効率が良いです。
レポート作成のコツ
最初の指示で 「含める要素」をリスト形式で並べる と、Claude Code は要素を 1 つずつ確実に実装してくれます。逆に「いい感じのレポート」のような抽象指示は、結果が安定しません。
実演 2 — 複数 CSV を結合する
月をまたいだデータをまとめて分析したい、これも Excel 整理の頻出パターンです。
Step 1 — 結合対象のファイルを揃える
> 3 ヶ月分のサンプル売上 CSV を作って。
> - sales-2026-02.csv(180 行)
> - sales-2026-03.csv(210 行)
> - sales-2026-04.csv(200 行)
> 列構成は同じ「日付, 商品コード, 商品名, カテゴリ, 数量, 単価, 売上」。
> 月によって人気カテゴリが微妙に違うようにして(例: 4 月は飲料が伸びる)。月によって傾向を変える、というひと言を入れるだけで、後の分析で「変化」が見えるリアルなデータになります。
Step 2 — 縦結合 + 集計
> sales-2026-02.csv / sales-2026-03.csv / sales-2026-04.csv を縦結合して、
> 結合済みデータを sales-q1.csv として保存。
> さらに、以下の比較を含む HTML レポート(report-q1.html)を作って。
> - 月別売上の推移(折れ線)
> - カテゴリ別売上の月別比較(積み上げ棒)
> - 全商品の月別売上ピボット(テーブル)
> - 前月比成長率トップ 5 と下位 5
> 元の 3 ファイルは変更しない。「元の 3 ファイルは変更しない」 の一文を必ず入れてください。これを書き忘れて元ファイルに上書きされた話は、Claude Code ユーザーあるあるです。
Step 3 — 形式が違うファイルの結合
実務だと「列の順番や名前が微妙に違う 3 つの CSV」もよくあります。
> 列名が違う 3 ファイルを結合して。
> - sales-old.csv は「Date, Item, Qty, Price」
> - sales-mid.csv は「日付, 商品, 数量, 単価」
> - sales-new.csv は「取引日, 品目コード, 個数, 単価, 売上額」
> 共通列を「日付 / 商品名 / 数量 / 単価 / 売上」に正規化して結合。
> 売上が存在しないファイルは 数量 × 単価 を計算で埋める。
> 元の 3 ファイルは変更しない。出力は sales-unified.csv。「正規化のルール」を指示文に明示することで、Claude Code の判断が安定します。自動で揃えてくれることを期待しすぎないのが、安定運用のコツです。
実演 3 — 不揃いな氏名フォーマットを統一する
3 つ目の実演は、営業・人事の現場でいちばん泥臭い 氏名フォーマット統一です。
よくある混乱パターン
山田太郎 ← 姓名くっつき
山田 太郎 ← 全角スペース
山田 太郎 ← 半角スペース
ヤマダタロウ ← 全角カタカナ
ヤマダタロウ ← 半角カナ
Yamada Taro ← ローマ字
TARO YAMADA ← ローマ字(姓名逆)
山田 太朗 ← 字違い(送り仮名違い・誤入力)1 列に「氏名」がこれだけ散らかってる、というのが実務の現実です。これを Claude Code に任せます。
> contacts-raw.csv の「氏名」列を以下のルールで正規化して。
> 1. 「姓 名」(全角スペース 1 つ)の形式に統一
> 2. 半角カナは全角カナに変換
> 3. ローマ字は「山田 太郎」のように漢字推定を試みる(無理なら半角カナで保留)
> 4. ローマ字で「TARO YAMADA」のように姓名が逆の場合、語順を正す
> 5. 「ふりがな」列を新規に追加(全角カナで)
> 6. 元の表記は「氏名_原文」列として保持(あとで比較できるように)
> 出力は contacts-cleaned.csv。判定に迷ったものは「要確認」フラグ列を 1 にする。「無理なら保留」「要確認フラグを立てる」 をルールに組み込むのが、Excel 整理の中級テクニックです。AI に 100% の正解を出させようとせず、「自信のない判定は人間に返す」 ようにすると、後工程が圧倒的に楽になります。
Excel 整理を AI に任せるコツ は、「全自動化」ではなく「半自動化」を目指す ことです。
- 自信のあるものは自動修正
- 自信のないものはフラグを立てて人間に回す
- 両者を 1 つの出力ファイル にまとめる
これだけで、後工程の人間が確認すべき行が 1/10〜1/100 に減ります。
Excel ファイル直接編集 vs CSV 経由 — 推奨は CSV
ここで一つ、運用上の大事な選択 があります。「Claude Code に Excel ファイル (.xlsx) を直接触らせるか、いったん CSV に変換してから触らせるか」です。
結論から言うと、基本は CSV 経由が推奨 です。理由は次のとおりです。
CSV 経由のメリット
1. 失敗時の被害が小さい Excel ファイルは関数・書式・グラフ・マクロが組み合わさった「アプリケーション」です。Claude Code が部分的に書き換えると、関数や条件付き書式がまるごと消える ことがあります。CSV 経由ならデータだけが対象なので、書式が壊れる心配はゼロ。
2. 動作が圧倒的に速い
Claude Code が openpyxl で xlsx を扱うと、起動とパースだけで 1〜3 秒余計にかかります。CSV ならミリ秒。大量データになるほど差は決定的 です。
3. デバッグしやすい CSV はテキストエディタで開いて目視確認できます。Excel は 中身を見るのに Excel が必要。問題が起きたとき、テキストで diff を見られるのは圧倒的にラクです。
4. 文字コードの問題が単純化される Excel は内部で勝手に文字コードを変換します。CSV はあなたが指定した文字コードでそのまま保存されるので、文字化けの責任の所在が明確 です。
Excel 直接編集が必要なケース
それでも Excel 直接編集を選ぶべきケースもあります。
- 元のシートに関数・書式・グラフを残したまま データだけ書き換えたい
- 複数シート の構造を保ったまま編集したい
- マクロ が組み込まれていて、それを温存したい
これらのケースでは ==openpyxl を使った xlsx 直接編集を依頼します。指示文に「元の書式・関数・グラフは保持して==」と明記してください。
指示テンプレート — 「==元ファイル foo.xlsx から CSV を出力 → CSV を処理 → 結果を foo-result.csv で保存==」を基本動線にすると、99% のトラブルが消えます。
データクレンジング Tips — 現場の知恵 10 個
Excel 整理を Claude Code に任せ始めると、「あー、これ最初に言っとけばよかった」 というポイントが必ず出てきます。先回りして 10 個並べておきます。
Tip 1. ヘッダー行の有無を明示 「1 行目はヘッダー(列名)です」と書く。書かないと、たまにヘッダーをデータとして集計されます。
Tip 2. 日付フォーマットを明示
「日付列は YYYY-MM-DD です」と書く。「2026/4/1」「2026-04-01」「4 月 1 日」など、書式の揺れで集計が止まることがあります。
Tip 3. 数値の型を明示
「金額列はカンマ区切りの文字列で入っています。数値として扱ってください」と書く。=="1,200" を数値だと思ってもらえずに 0 として合計される== 事故、よくあります。
Tip 4. 空白セルの扱いを明示 「空白セルは 0 として扱う/除外する」を選んで指示する。デフォルト挙動は環境依存です。
Tip 5. 文字コードを明示 「UTF-8 で読み書きしてください。Shift_JIS のファイルなら最初にエンコード変換も」と書く。Excel の CSV エクスポートは Shift_JIS のことが多いので要注意。
Tip 6. 列の追加位置を明示 「新しい列は 最右端/C 列と D 列の間/D 列の前 に追加」と書く。位置を指定しないと、AI のセンスで配置されて毎回違う結果になります。
Tip 7. ソートキーを明示 「日付昇順、同日内は売上降順」のように、第 2 ソートキーまで決める。これを書かないと、同点が並んだときに毎回違う順になります。
Tip 8. 重複判定の基準を明示 「メールアドレスが完全一致したら同一人物」のように、何をもって重複とするかを明示する。「氏名 + 会社名」だけだと、表記揺れで重複が検出できないことが多いです。
Tip 9. サンプル出力を見せる
「出力例: ==2026-04-01, 飲料, 12000==」のように、1 行だけサンプルを書く。これだけで形式の揺れが消えます。
Tip 10. 件数の事前確認を頼む 「処理を始める前に、何行入力で何行出力になる見込みかを 報告してから 進めて」と書く。大量データを誤った処理で破壊する事故 の 9 割はこの一文で防げます。
最強の一文
「処理前に件数と処理方針を報告して、承認したら実行して」
この一文を頭につけるだけで、Claude Code は 必ず計画を提示してから動く ようになります。Excel 整理の事故率が劇的に下がるので、テンプレ化推奨です。
失敗パターン — 4 つの地雷を踏み抜かないために
ここまで便利な話ばかりしてきましたが、Excel 整理で実際に踏みやすい地雷を 4 つ 並べておきます。事前に知っておけば全部回避できます。
地雷 1 — 無条件で全件処理して元ファイルを破壊
「重複を削除して」とだけ言うと、Claude Code は 元ファイルを上書き することがあります。気づいたときには元データが消えていて、復元できないというパターン。
回避策は次の通りです。
- 指示文に必ず 「元ファイルは変更しない/別名で保存」 を入れる
- 処理前にファイルを バージョン付きでコピー(
stock-20260519.xlsxのように) - 念のため Google Drive 等にもバックアップ
地雷 2 — 文字化け(Shift_JIS / UTF-8 / CP932 のトリオ)
日本語の Excel 環境は文字コードの地雷原です。Excel が CSV を保存すると Shift_JIS、PC のターミナルは UTF-8、Mac は Shift_JIS を CP932 として読む — このトリオで頻繁に文字化けが起こります。
回避策は次の通りです。
- 指示文に「入力ファイルの文字コードを自動判定してから読み込んで、出力は UTF-8 BOM 付きで保存」と書く
- 「UTF-8 BOM 付き」にしておくと、Excel でダブルクリックしても文字化けしない(重要)
- Shift_JIS 入力の場合は「chardet ライブラリで判定」と指示すると確実
地雷 3 — 数値型崩壊(先頭 0 が消える、指数表記化)
商品コード 001234 が 1234 になる、電話番号 09012345678 が指数表記 9.01E+09 になる、==郵便番号 0790001 が 790001 に==。これは Excel の自動型推定が原因です。
回避策は次の通りです。
- 指示文に「商品コード・電話番号・郵便番号は文字列型で扱う」と明示
- 出力を Excel で開く前提なら、==列の頭に
'(シングルクオート)を付ける か、ファイルを開くときに 「テキストとして読み込む」== をユーザーに案内 - いっそ Excel で開かず、CSV のままビューアで確認する運用にすると事故ゼロ
地雷 4 — マクロ・条件付き書式・グラフの干渉
.xlsm(マクロ付き Excel)を openpyxl で開いて保存すると、マクロが消える ことがあります。条件付き書式やグラフも壊れがちです。
回避策は次の通りです。
- マクロ付きファイルは データだけ別 CSV にエクスポート してから処理
- 「==元の
.xlsmは触らず、データだけをdata.csvに書き出して処理==」と明示 - どうしても直接編集が必要なら、マクロを別ファイルにバックアップ してから
==Excel 整理の事故 = 「あとで戻せない」事故==。
地雷 1〜4 のどれを踏んでも、コピーさえ取っておけば 100% 回復可能 です。Excel 整理を Claude Code に任せる前の儀式は、Cmd+C → Cmd+V でファイル複製、ファイル名末尾に日付 。これだけで事故は怖くなくなります。
プロンプトテンプレート集 — そのままコピペで使える 6 本
ここまでの内容を凝縮した、すぐ使えるプロンプトテンプレート を 6 本置いておきます。手元の Notion や Obsidian にコピペしておくと、来週からの仕事が変わります。
テンプレ 1 — 安全モード(最初はこれだけ覚えれば OK)
> 以下のファイルを処理してください。
> 入力: {ファイル名}
> 処理内容: {やりたいこと}
> 出力: {新しいファイル名}
>
> 必須ルール:
> 1. 元ファイルは絶対に変更しない
> 2. 処理前に「入力 N 行 → 出力見込み M 行」を報告
> 3. 承認後に実行
> 4. 出力は UTF-8 BOM 付き
> 5. 文字コードは自動判定テンプレ 2 — 集計レポート
> {input.csv} を読み込んで {期間} の {対象} 別レポートを HTML で作って。
> 含める要素:
> - 合計・件数・平均
> - {軸 1} 別の円グラフ
> - {軸 2} 別の棒グラフトップ {N}
> - {軸 3} 別の推移折れ線
> - 全データのソート可能テーブル
> 自己完結 1 ファイル。出力名: {output.html}テンプレ 3 — 複数ファイル結合
> 以下のファイルを {キー列} で結合して。
> - {file_a} (列: ...)
> - {file_b} (列: ...)
> - {file_c} (列: ...)
> 共通列を {正規化後の列名} に揃える。
> 重複は {ルール} で扱う。元ファイルは変更しない。
> 出力: {output.csv}テンプレ 4 — データクレンジング
> {input.csv} の {対象列} を以下のルールで正規化して。
> 1. {ルール 1}
> 2. {ルール 2}
> 3. 判定に迷ったものは「要確認」フラグを 1 にする
> 元の値は {元の値保持列} として保持。
> 出力: {output.csv}テンプレ 5 — 自由記述の分類
> {input.csv} の {自由記述列} を以下のカテゴリに分類して。
> - {カテゴリ 1} / {カテゴリ 2} / {カテゴリ 3} / その他
> 結果を新しい列「カテゴリ」として追加。
> カテゴリ別の集計も別シートで作って。
> 出力: {output.xlsx}テンプレ 6 — ピボット風集計
> {input.csv} を以下の軸でピボット集計して。
> - 行: {行軸}
> - 列: {列軸}
> - 値: {値列} の {合計 / 平均 / 件数}
> 合計行・合計列を追加。
> 数値はカンマ区切り、右寄せ。
> 出力: {output.csv} (CSV)または {output.html} (表示用)このテンプレ集は ==CLAUDE.md (第 5 章で学ぶプロジェクト設定ファイル)にコピペしておく と、毎回テンプレを引っ張ってこなくても Claude Code が自然に従ってくれるようになります。自分専用の整理ガイドライン== として育てていきましょう。
やってみよう — あなたの実データで 1 本走らせる
ここまで読んだら、必ず手元のデータで 1 本走らせてください。読むだけでは身につきません。
推奨課題(難易度別)
初級 — まずは安全に体験
- 手元の小さな CSV(30 行以内)を、テンプレ 2「集計レポート」で HTML 化
- 何でもいいので、CSV → Excel、Excel → CSV の相互変換
- 1 つの CSV から、列の並び順を変えた CSV を出力
中級 — 実務に直結
- 過去 3 ヶ月分の売上 CSV を結合して、月次比較レポートを作る
- 顧客リストの氏名・会社名・電話番号を正規化して、重複を統合
- 経費 CSV を会計ソフト取り込み形式に変換
上級 — 自動化の入口
- 毎月 1 日に自動実行できるよう、シェルスクリプト化(cron や launchd と組み合わせる)
- 入力 CSV を Google Drive から自動取得、結果を Slack に通知 する仕組み
- 複数の入力フォーマット に対応できる「汎用 Excel 整理ツール」を作る
> 毎月 1 日 9:00 に sales-{YYYY}-{MM}.csv を読み込んで、
> report-{YYYY}-{MM}.html を生成し、Slack の #sales チャンネルに
> リンクを投稿するシェルスクリプトと crontab エントリを作って。
> シェルスクリプトは monthly-report.sh、ログは logs/{YYYY}-{MM}.log に。1 問だけ問いかけ — あなたが今週、Claude Code に丸投げしたい Excel 整理タスクを 1 つ思い浮かべてください。それは 「テキスト・形式・やり直し可能」の 3 条件 を満たしていますか?
満たしていれば、いますぐ走らせて OK。満たしていない(バイナリ寄り・暗黙知が必要・取り返しがつかない)なら、まずは 小さな練習データ でテンプレ 1 を試してみるところから。
入門編(第 1〜3 章)の振り返り
おめでとうございます。これで入門編は完了です。ここまで読んで、手を動かしたあなたは、すでに同期の中で上位 5% です。
学んだこと
- 第 1 章 — Claude Code の正体、料金体系、向き不向き
- 第 2 章 — インストール、初回起動、ターミナルの基本
- 第 3 章 — 指示の出し方、ファイル作成、Excel 整理の実践
身についた「型」
- 具体的に・完成形を伝え・1 つずつの指示
- 修正は会話で重ねる、一発で完璧を目指さない
- 元ファイルは触らせない、安全な習慣
- CSV 経由が基本、Excel 直接編集は必要な時だけ
- 半自動化思考、迷ったものは人間に返す
これだけ揃えば、すでに月数千円の API 利用料で月数十時間の業務時間が浮く レベルに到達しています。第 4 章以降は、ここからさらに プロンプト術 → Web アプリ作成 → 外部ツール連携 → コスト最適化 と、業務インパクトをもう一段引き上げる内容です。
章末演習 — 入門編の総仕上げ。所要時間 20〜30 分。
- 今日学んだ 7 シナリオのうち、自分の業務にいちばん近いものを 1 つ選ぶ。それを実データ(または近いダミーデータ)で 1 本走らせる。完成した出力ファイルのスクショを撮って、自分用のメモに残す
- テンプレート集 6 本のうち、自分が来週使いそうなものを 1 本だけ選ぶ。
CLAUDE.mdか Notion かメモ帳に貼り付けて、自分の業務に合わせて変数部分を埋めてカスタマイズする - 失敗パターン 4 つを声に出して読む(家で 1 人のとき)。「元ファイル触らせない・文字化け対策・型崩壊対策・マクロ干渉対策」— この呪文を体に入れる
- (余裕があれば)今日作った成果物を 同僚 1 人に見せて反応をもらう。「これ AI に作らせた」と言うと、ほぼ確実に「教えて」と言われます。それが第 10 章「組織導入」への入口になります
<Checklist id="intro-ch1-3" items={["Claude Code の概要と料金プラン、向き不向きを理解した","Claude Code をインストールして初回起動し、最初の指示を出せた","ファイル作成・Excel 整理の指示パターンを 5 個以上ストックできた","失敗パターンと回避策(元ファイル保護・文字コード・型・マクロ)を把握した","プロンプトテンプレートを 1 本以上、自分用にカスタマイズした"]} />
<Quiz question="Claude Code に Excel 整理を任せるとき、最も事故が少ない基本動線はどれ?" options={["xlsx を直接編集させて、結果も同じ xlsx に上書き保存させる","xlsx → CSV に変換 → CSV を処理 → 別名 CSV で保存、を基本にする","毎回 Google スプレッドシートに変換してから処理する"]} answer={1} />
次のレッスン 4-1: 業務自動化の地図 からは、入門で身につけた "型" を業務にスケールさせる 実践編です。営業・経理・マーケ・人事それぞれの現場で、どの作業から自動化していくか — その地図を一気に広げます。