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安全と会社での利用

シャドーAIとは?禁止せずに守る、会社の生成AI利用ルール1枚

要点この記事の答え
  1. 会社が把握していない生成AIを、社員が仕事に使う状態です。
  2. 禁止しても見えなくなるだけで、漏えいは減りません。
  3. 情報の3区分と承認した道具を、1枚で渡します。
禁止ではなく、入れてよい情報の3区分と承認済みの道具を1枚で渡し、迷ったら聞く人を決めます。

シャドーAIは、会社が把握していない生成AIを、社員が仕事に使っている状態です。 公的な定義が1つに決まっているわけではなく、この記事ではその意味で使います。個人のアカウントでChatGPTやClaudeに会社の資料を貼る使い方が、当てはまりやすい例です。当サイトの見方では、禁止しても使う人はいなくならず、見えない場所に移るだけなので、入れてよい情報の3区分と、承認した道具を1枚で渡し、迷ったら聞く人を決めるほうが現実的です。

この記事は、社員が10人から300人ほどで、情シスが1人か兼任の会社向けです。後半に、そのまま使える1枚のルールの雛形があります。Claude(Team、Enterprise)とClaude Codeのデータの扱いは、2026年10月23日にAnthropicの公式の説明で確かめました。

内容は、公式のClaude Codeのデータの使い方、セキュリティ、Anthropicのプライバシーセンターの「データはモデルの学習に使われますか」、Teamプランの説明、IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインと照らし合わせました。

シャドーAIとは

AIの利用を会社が許可も把握もしていないのに、社員が業務で使っている状態をシャドーAIと呼びます。会社が契約していないツールや、個人の無料アカウントを仕事に使うのが典型です。

問題は、AIを使うことそのものより、どの情報がどの契約の道具に入ったかを、会社が知らないことです。同じClaudeでも、契約によって、入れた内容の扱いが変わります。次の章で、その違いを見ます。

なぜ禁止ではうまくいかないのか

当サイトの見方では、理由は3つです。

  • 便利なので、禁止しても私用の端末やアカウントで使われ、使っていることを言い出せなくなる
  • 禁止だけでは「何ならよいか」が分からず、迷った社員が自己判断で使う
  • 会社が把握できなくなると、事故があっても気づけず、契約を見直す機会もなくなる

だから、禁止ではなく使ってよい道具と情報を、先に決めて渡すほうが、管理が届きます。

契約ごとの、データの扱いの違い

ルールを決める前提として、Claudeの契約ごとの違いを、公式の説明で確かめました。ここで扱うのは、Claude Codeの説明と、学習についての説明です。

契約入れた内容を学習に使うかClaude Codeのデータの保存
契約Free、Pro、Max(個人向け)入れた内容を学習に使うか設定で選べる。オンにすると、Claude Codeでの利用も学習に使われるClaude Codeのデータの保存学習を許すと5年、許さないと30日
契約Team、Enterprise、API(商用)入れた内容を学習に使うか使わない。ただし、顧客が自分から提供を選んだ場合は別(例は開発パートナープログラム。組織の管理者が組織として申し込むこともできる。このプログラムはAnthropicのAPIを直接使う場合だけ)Claude Codeのデータの保存標準で30日
契約Enterpriseのゼロデータ保持入れた内容を学習に使うか商用と同じClaude Codeのデータの保存資格のある組織だけが対象。標準のEnterpriseには含まれず、担当チームが組織ごとに有効にする

個人向けの契約には、公式の説明で、消費者向けの利用規約が当てはまります。Team、Enterprise、APIには商用の利用規約です。会社の情報を入れる道具は、個人の契約ではなく、会社の契約にするというルールの根拠は、ここにあります。

図 1Claude Codeに入れた会社の情報が、Anthropicに残る日数個人の契約で学習を許していると5年残り、会社の契約の標準の30日の約61倍です。
05001,0001,5002,0001,825日個人 学習あり1,825日/feedbackで送信30日個人 学習なし30日会社の契約01,0002,0001,825日個人 学習あり1,825日/feedbackで送信30日個人 学習なし30日会社の契約01,0002,0001,825日個人 学習あり1,825日/feedbackで送信30日個人 学習なし30日会社の契約
出典 Claude Codeの公式ドキュメントData usageの「Data retention」と「Feedback」。2026年10月25日に確かめました。5年は1年を365日として1,825日に直し、約61倍はその日数を30日で割って四捨五入しました。個人の契約はFree、Pro、Max、会社の契約はTeam、Enterprise、APIです。/feedback、/bug、/shareでAnthropicに送った会話は、5年残ります。
数値を表で見る
契約と使い方残る期間
個人の契約で学習を許す5年
/feedbackなどで送った会話5年
個人の契約で学習を許さない30日
会社の契約の標準30日

Anthropicのプライバシーセンターは、商用の製品の入力と出力を、初期設定では学習に使わないと説明しています。ただし、フィードバックを送る、または自分から許可した場合は、その内容を使うことがあるとも書いています。TeamとEnterpriseのオーナーは、メンバーによるフィードバックの送信を、組織の設定で無効にできます。

なお、Teamプランの管理の機能として、公式の説明に、アクセスと請求の一括管理、SSO、ロールごとの権限、利用額の上限の設定が挙がっています。Teamには、Claude Codeも含まれます。最低人数は2人です。

TeamとEnterpriseでは、社員が履歴に残らないシークレットチャットで話した内容も、オーナーが書き出す組織のデータに含まれます。社員には「シークレットにすれば会社の記録に残らない」わけではないと伝えておきます。

関連記事claude.ai の機能Claudeのシークレットチャットとは?保存・管理者に見えるか・使い方Claudeのシークレットチャット(Incognito chat)で残らないものと残るもの、30日間の保存、学習、会社の管理者に見えるか、始め方、プロジェクトで使えないこと、メモリを1回だけ切るチャットとの違いを公式情報でまとめます。

1枚のルールに入れる5つの項目

ルールは長くしません。社員が1回で読める、1枚にします。入れる項目は5つです。

1 情報の3区分

当サイトの雛形です。社内の区分に合わせて直してください。

区分例AIに入れてよいか
区分公開例公開済みの資料、公開サイトの文章AIに入れてよいか承認済みの道具なら入れてよい
区分社内例社内の議事録、手順書、社内向けの数字AIに入れてよいか承認済みの会社の契約の道具だけ。個人のアカウントには入れない
区分入れない例個人情報、取引先から預かった情報、パスワードと鍵、未公開の決算、契約書AIに入れてよいかどの道具にも入れない。例外は担当者の承認がある場合だけ

区分の細かい決め方は、次の記事の「データ区分」の章でも説明しています。

関連記事安全と会社での利用Claude Codeのチーム運用|権限・費用・品質を管理する実践ガイドClaude Codeをチームで運用するための実務設計。利用目的、データ、権限、品質、費用、監査のルールと、2〜4週間の導入手順をチェックリストで解説します。

2 承認した道具と契約

道具の名前だけでなく、どの契約かまで書きます。たとえば「ClaudeはTeamの契約のアカウントだけ。個人のFree、Pro、Maxは仕事に使わない」のようにします。会社の契約のアカウントに限ります。Teamプランでは、公式の説明に、管理者がアクセスと請求を一括で管理できること、ロールごとの権限を設定できることが挙がっています。

3 絶対に入れないもの

2の区分の「入れない」を、具体例で書きます。例には、社員の名簿、取引先の名前入りの見積書、.envファイル、顧客のデータの書き出しなどがあります。Claude Codeでファイルを守る具体的な設定は、次の記事が対象です。

関連記事安全と会社での利用Claude Codeで情報漏洩しない?送られるデータと安全な設定Claude Codeは何をどこへ送るのか、学習に使われるか、どれだけ保存されるかを公式の説明で整理。.envや鍵をdenyで守る設定、sandbox、外への通信を減らす環境変数、チェックリストまでまとめます。

4 誰に聞くか

迷ったときの窓口を、1人の名前で書きます。兼任の情シスなら、その人です。「聞いたら使えない」と思わせないよう、返事の目安の日数も書きます。

5 間違えたときの連絡

うっかり入れてしまったときに、責めないと書き、連絡先と、連絡してほしい内容(何を、どの道具に、いつ)を決めます。隠されるより、早く知るほうが対応できます。

ルールの雛形

次をコピーして、会社の名前と窓口を入れてください。

テキスト
生成AIの使い方
(会社名、年月日)

1 使ってよい道具
・Claude
 (会社のTeamの契約の
  アカウントだけ)
・(ほかに承認した道具と
  契約を書く)
個人のアカウントや、承認
していない道具は、仕事に
使いません。

2 入れてよい情報
・公開の情報は、承認した
 道具に入れてよい
・社内の情報は、会社の契約
 の道具だけに入れてよい
・次の情報は、どの道具にも
 入れない
 個人情報、取引先から預かっ
 た情報、パスワードと鍵、
 未公開の決算、契約書

3 迷ったら
(担当者の名前)に聞いて
ください。(日数)営業日
以内に答えます。

4 間違えて入れたとき
責めません。(連絡先)に、
何を、どの道具に、いつ入れ
たかを知らせてください。

5 見直し
半年に一度、この紙を見直し
ます。

Claude Codeを会社で使うときの追加

開発や社内の自動化にClaude Codeを使う会社は、1枚のルールに加えて、次を決めます。

  • 契約はTeam、Enterprise、APIなど会社のものにする。個人向けのプランの設定では、学習に使う選択が残り得る
  • 権限の設定を、管理者が管理設定として配る。公式は、組織の基準を管理設定で強制するよう案内しています
  • 手元のパソコンの会話の記録は、初期設定で30日、平文で残る(~/.claude/projects/)

権限と運用の細かい決め方は、上で挙げたチーム運用の記事にまとめています。

MCPサーバーを足すときの確認は、次の記事のチェックリストを使います。

関連記事安全と会社での利用MCPサーバーのセキュリティチェックリスト|入れる前に確かめることMCPサーバーを入れる前に、提供元、アクセスできる範囲、データの送り先、更新のされ方を確かめるチェックリスト。Claude Codeのスコープ、承認、ツールごとの権限、会社の許可リストも公式の説明で整理します。

AIが読む文章に紛れた命令の問題は、次の記事で説明しています。

関連記事安全と会社での利用プロンプトインジェクションとは?Claude Codeでの例と対策【2026年10月】プロンプトインジェクションを平易に解説し、READMEやWebページ、Issue、MCPの返事から入る例と、完全には防げない理由、deny・sandbox・通信先の許可リスト・人の承認で被害を小さくする方法をまとめます。

公的なガイドラインとの関係

IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、第4.0版で、はじめに取り組む5か条に「バックアップを取ろう」を足して、6か条になりました。経営者向けの指針と、社内での実践の手順の2部です。2026年10月23日に確かめた概要の頁では、生成AIを個別に扱った記述は確認していません。生成AIの1枚のルールは、この全体のセキュリティの方針につなげて置くのが自然です。

経済産業省と総務省のAI事業者ガイドラインは、2026年10月23日の時点では、頁を開けず、中身を確かめられませんでした。そのためこの記事では内容を引用していません。

決めたことが足りているかは、生成AIの社内ルール 自己点検で確かめられます。15項目に答えると、まず決めたい3つが出て、1枚で印刷もできます。入力はブラウザの中だけで処理し、送信も保存もしません。

始めるときの順番

  1. 今、社員がどの生成AIを使っているかを、責めない前提で聞く
  2. 承認する道具を1つか2つに絞り、会社の契約にする
  3. 上の雛形で1枚を作り、窓口を決めて配る
  4. 半年後に見直す

2の会社の契約を、TeamとEnterpriseのどちらにし、どう申し込んで設定するかは、次の記事で説明しています。

関連記事安全と会社での利用Claudeを会社で使うには?法人契約・請求書払い・導入の手順Claudeを会社で使う方法を公式情報で解説。運営会社のAnthropicと東京オフィス、TeamとEnterpriseの違い、法人契約の申し込み方、請求書払いと消費税、SSOや役割などの組織の設定、データの扱い、導入の進め方と研修をまとめます。

よくある質問

シャドーAIとは何ですか?

公的な定義は1つに決まっていませんが、ここでは、会社が許可も把握もしていない生成AIを、社員が仕事に使っている状態です。個人のアカウントで会社の資料を入れる使い方が代表例です。

生成AIを禁止すれば安全ですか?

当サイトの見方では、安全にはなりません。禁止しても私用のアカウントで使われ、会社が把握できなくなるおそれがあります。入れてよい情報と承認した道具を先に決めて渡すほうが、管理が届きます。

会社で使うClaudeは、どの契約にすればよいですか?

Anthropicの公式では、Team、Enterprise、APIの商用の契約は、申し込まない限り入力を学習に使いません。個人向けのFree、Pro、Maxは設定で選ぶ形です。会社の情報は、商用の契約のアカウントだけで扱います。

ルールはどれくらいの長さにすればよいですか?

社員が1回で読める1枚です。使ってよい道具、入れてよい情報の区分、入れないもの、聞く人、間違えたときの連絡の5項目だけにします。